インドの製薬企業Shilpa Biologicalsが、南部カルナータカ州のダルワル(Dharwad)拠点にADC(抗体薬物複合体)製造能力を新たに整備した。BioProcess Internationalが伝えた。これにより、これまでスイスや北米のCDMOに集中していたADC製造の受託先として、インドが新たな選択肢となる。
ADC製造が特に難しい理由
ADCは、がん細胞に選択的に結合する抗体と、強力な細胞毒性を持つ低分子薬物(ペイロード)を化学的リンカーで結合させた複合体医薬品だ。製造工程は「抗体の生産・精製」と「リンカー・薬物の合成」と「コンジュゲーション(結合)」の大きく三工程に分かれており、それぞれ異なる設備と専門技術を要する。特にペイロードは高い細胞毒性を持つため、作業者保護と環境管理のための封じ込め設備(コンテインメント)が不可欠で、通常の抗体製造施設への後付けが難しい。このため、ADC専用または対応可能なGMP施設は世界的に不足しており、受託製造への需要が急増している。
インドに広がるバイオ製造の裾野
インドはこれまで、低分子ジェネリック医薬品の製造大国として知られてきたが、近年は政策的な支援もあってバイオ医薬品製造への投資が活発化している。Shilpa Biologicalsは抗がん剤APIや製剤での実績を持つ企業であり、ADC製造への参入はモダリティの高度化という観点でも注目される動きだ。アジア太平洋地域でADC製造能力を持つCDMOが増えることで、製薬企業は地理的リスクの分散と調達コストの最適化を同時に進めやすくなる。
※ 本ページは公開情報(BioProcess International報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。