国内バイオベンチャーのシンプロジェンは2026年7月、遺伝子治療薬製造向けにオールインワン型プラスミドを開発し、これを用いることで製造コストを従来比で約7割削減できるとの成果を発表した。複数のプラスミドを必要としていた従来の製造システムを単一プラスミドに統合することで、製造工程の大幅な簡略化を図った。
ウイルスベクター製造におけるプラスミドの役割
レンチウイルスベクター(LVV)やAAVを用いた遺伝子治療薬の製造では、ウイルスを産生するためにいくつかのプラスミドDNAを宿主細胞に一過性導入するトランスフェクション法が広く用いられる。たとえばLVVの製造では治療遺伝子を搭載するトランスファーベクター、パッケージング構成要素を供給するプラスミド、エンベロープタンパク質をコードするプラスミドといった3〜4種類を同時にトランスフェクションするのが一般的だ。それぞれのプラスミドを個別に高品質・GMP基準で製造・管理するのはコストと時間のかかる作業となる。
オールインワン化がもたらす製造効率の向上
シンプロジェンが開発したオールインワン型プラスミドは、これらの機能を単一のプラスミドに統合するアプローチをとっている。プラスミドの種類を1種に絞ることで、原材料調達・品質管理・トランスフェクション工程が簡素化され、製造工程全体のコスト削減につながる。遺伝子治療薬の商業化において製造コストの高さは大きな障壁の一つとなっており、このようなプラスミドエンジニアリングによるコスト削減アプローチは製品価格の引き下げにも貢献しうる。
遺伝子治療の市場拡大に伴い、CDMOによるプラスミドDNA(pDNA)製造の需要も急増しており、より効率的な製造に向けたプラットフォーム改良の競争は世界的に激しくなっている。シンプロジェンの取り組みは、国内発の技術がこの領域で競争力を持てることを示す事例として業界から注目を集めそうだ。
※ 本ページは公開情報(日経バイオテクONLINE報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。