BioProcess International誌が、Thermo Scientific™のDynaDrive™バイオリアクターを用いた5Lから5000Lへの大幅なスケールアップ事例を報告した。ラボスケールから商業スケールにまたがる1000倍ものボリューム差を一つのプラットフォームで橋渡しした事例として、バイオプロセス上流工程における再現性の評価基準として注目される内容だ。
スケールアップで問われる「同じ細胞環境」の維持
バイオリアクターのスケールアップは、バイオ医薬品製造における最大の技術的難所の一つだ。ラボスケールで最適化した培養条件──溶存酸素(DO)、pH、撹拌速度、ガス混合比など──を大型タンクに移植する際、幾何学的相似則だけでは再現が難しく、流体力学的な差異が細胞の増殖特性や生産性に影響を与える。特に剪断応力と混合時間(mixing time)のバランスは、哺乳動物細胞の生存率を左右する重要なパラメータだ。
DynaDriveはThermo Fisherが展開するシングルユース対応の撹拌型バイオリアクターで、インペラー設計や制御システムにスケール間での一貫性を高める工夫が施されている。今回のケーススタディでは、5L・開発スケールから5000L・製造スケールにかけてのプロセスパラメータ移植と、各スケールにおける培養パフォーマンスのデータが示されているとみられる。
「小さくて速く」から「大きくて確実に」へ
近年、上流プロセスの開発においては小スケールモデル(ミニバイオリアクター)での高スループットスクリーニングと、それを製造スケールへ迅速に移管する「スケールダウンモデル」の整合性確保が重要視されている。こうした事例研究は、設備投資判断やプロセス移管計画の根拠データとして製造部門に直接役立つ情報となる。スケールアップ事例の公開はメーカーのプラットフォーム実績を示す重要な技術訴求であり、新規装置の採用検討時の判断材料としても機能する。
※ 本ページは公開情報(BioProcess International報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。