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2017.03.06•Tosoh Bioscience

東ソー、Fcを持たない抗体フラグメント向けプロテインLレジン「TOYOPEARL AF-rProtein L-650F」

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Photo: Bishwajit Ghose / Unsplash

東ソーの米国法人Tosoh Bioscience LLCは2017年3月、プロテインLアフィニティレジン「⁠TOYOPEARL AF-rProtein L-650F⁠」を米州で発売しました。業界誌BioProcess Internationalも3月6日付でこれを報じ、同じ年には欧州法人も発表しています。抗体精製の定番であるプロテインAでは捕まえにくい、Fc領域を持たない抗体フラグメントを製造スケールで精製するための製品です。カラムに詰めて使うレジン(抗体をつかむ分子を表面に固定した樹脂の粒)で、培養液から目的の分子を最初につかみ取る工程(捕捉工程)に使います。

Fcを足がかりにできない抗体フラグメント

抗体はY字形をしています。Y字の軸にあたるのがFc領域で、2本の腕の先には抗原と結合する可変領域があります。通常の抗体医薬の精製では、このFcをつかむプロテインAのレジンが標準で、多くの抗体を同じ条件で一度に取り出せます。

ところが、腕だけを切り出したFab(抗原結合フラグメント)や、重鎖と軽鎖の可変領域を短いペプチドでつないだscFv(一本鎖抗体)には、Fcがありません。Fcを足がかりにするプロテインAの通常の使い方ができないので、別のつかみ方が要ります。

そこで使われるのが、細菌由来のタンパク質であるプロテインLです。抗体を形づくる2種類の鎖のうち、短いほうの軽鎖(L鎖)の可変領域をつかむため、Fcの有無に関係なく結合できます。

プロテインLのレジンには、CytivaのCapto Lのように広く使われてきた製品がすでにあります。TOYOPEARLとの違いは、リガンド(抗体をつかむ分子)を固定する粒、つまり基材にあります。Capto Lは寒天の主成分でもあるアガロース(多糖類)の粒を使い、TOYOPEARLはポリメタクリレート系の合成樹脂の粒を使います。東ソーは、カラムの中を液が進む速さ(線速度)を毎時600 cmまで上げられるとしています。

リガンドは、プロテインLの一部(B4ドメイン)を改変した組換えタンパク質で、洗浄に使うアルカリに耐えるよう作られています。東ソーによれば、Fabをつかめる量(動的結合容量)はレジン1 Lあたり38 gを超え、他社のプロテインLレジンのほぼ2倍です。ただ、この値は測る条件で変わります。同社のアプリケーションノートには、液がカラムにとどまる時間を4分とった条件で、50 mg/mLを超える値も載っています。どちらもメーカーが自社の条件で測った数字で、自社の分子で同じ値が出るとは限りません。

選ぶ前に確かめたい軽鎖の種類

Fcを持たない抗体は、すでに医薬品として使われています。加齢黄斑変性の眼内注射薬ラニビズマブ(ルセンティス)はFab、急性リンパ性白血病の薬ブリナツモマブ(ビーリンサイト)は2つのscFvをつないだ二重特異性の分子です。こうした形の分子を開発するなら、捕捉にはプロテインLが候補に挙がります。

ただし、プロテインLは万能ではありません。軽鎖にはκ(カッパ)とλ(ラムダ)の2種類があり、プロテインLがつかむのはκ鎖だけです。κ鎖の中にも、ヒトのVκIIのように結合しにくいサブグループ(型)があります。ラクダ科由来のVHH(ナノボディ)はそもそも軽鎖を持たないので、プロテインLではつかめません。

λ鎖の分子には、別系統の製品を使います。λ鎖のFabのように軽鎖の定常領域(可変領域の根もとにある、配列がほぼ一定の部分)を持つ分子なら、CytivaのLambdaFabSelectや、Thermo Fisher ScientificのCaptureSelectシリーズのλ鎖用レジンが候補です。定常領域を持たないλ鎖のscFvは、これらでもつかめません。

見落としやすい点がもう1つあります。プロテインLは軽鎖そのものをつかむので、重鎖と組まずに余った軽鎖(遊離軽鎖)も一緒に捕まえます。Fabの製造では余った軽鎖やその二量体が不純物として出ることがあり、捕捉のあとにイオン交換などの仕上げの精製で分ける段取りが要ります。

購買や品質保証の担当者にとって、プロテインL系のレジンはプロテインAより選べる製品が少ないぶん、候補の銘柄を早めに押さえておく価値があります。一方、承認済みの製品でレジンを切り替えるなら、工程の検証をやり直し、変更管理の手続きを踏まなければなりません。まずは、これから開発するフラグメントで比較の候補に入れるのが現実的です。

手元の分子については、軽鎖がκかλか、κならどのサブグループかを、まず配列情報で確かめてください。そのうえでメーカーに聞いておきたいのは3点です。1つ目は、同じ形式(FabかscFvか)の分子を自社の流速で流したとき、どれだけ結合できるか(動的結合容量)です。2つ目は、洗浄に使う水酸化ナトリウムの濃度と、繰り返し使える回数です。3つ目は、リガンドの漏れ出しを測る方法です。フラグメントの作り方と精製の全体像は抗体フラグメントの微生物生産、レジンの組み合わせ方は精製レジンの選び方で解説しています。

レジンの銘柄を比べる前に、自社の分子の軽鎖がκかλかを確かめておくと、候補を一度で絞り込めます。

※ 本ページは公開情報(東ソーの製品資料、BioProcess Internationalの報道)をもとにした紹介です。製品の仕様・数値は東ソーの一次情報をご確認ください。

業界メディア報道
bioprocessintl.com
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本記事は業界メディア等の報道をもとに、Proglenth編集部が独自に見出し・要約・解説を加えて整理したものです。正確性には努めていますが、最終的な仕様・条件は各社の公式情報・一次情報をご確認ください。編集の考え方は編集方針に記載しています。

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