WuXi Biologicsの非GMPパイロット生産グループのMingyue Fangらは、既存の流加培養(フェドバッチ)設備でも、下流精製のカラムクロマトグラフィーを膜ベースの手法に替えれば、処理能力を約 8倍 にできる可能性があるとする試験を、査読付きのBiotechnology Progress誌に発表した。100 Lのバッチ式パイロットラインを、連続用の専用設備を新設せずに連続運転へ切り替えている。BioProcess International(BPI)が2026年7月に伝えた。
BPIの見出しにある「Retain in the Membrane?」は、膜クロマトグラフィーにかけた言葉遊びです。灌流培養の細胞保持(ATFやTFF)の話ではなく、精製工程の話です。
樹脂のカラムから膜へ
膜クロマトグラフィーは、樹脂を詰めたカラムの代わりに、膜状の吸着体へ液を通して分離する手法です(メンブレンクロマトグラフィーとは)。BPIによれば、膜は充填カラムよりはるかに高い流速に耐え、バッチラインにすでにあるクロマトグラフィー装置へつなげられます。試験で使ったのは、Sartoriusの膜製品Sartobindです。
連続生産は、専用の設備一式を新たに用意するところが壁になりやすい方式です(連続生産とプロセス強化)。今回の試験は、その壁を既存の装置の転用で越えられるかを、100 Lで確かめたものです。
8倍の読み方
BPIは「できる可能性がある」という書き方で伝えています。8倍が実測値か試算値かは、論文本体を確認できていないため分かりません。試験は非GMPのパイロット規模であり、GMP工場で同じ数字が出るかは別の問題です。
同社は2025年8月に、別の発表として、WuXiUPプラットフォームで2段の膜クロマトグラフィーを使い、樹脂に対して5〜10倍の生産性を得たとしています。こちらは灌流培養と組み合わせた自動連続の原薬製造で、会社発表の数字です。今回の8倍とは別の系なので、足し合わせて読むことはできません。
BPIが伝えたのは、培養ではなく下流精製の処理能力の話です。既存のクロマトグラフィー装置に膜をつなぐ転用の見込みとして読み、8倍の条件は論文で確かめておくのが確実です。
※ 本ページは公開情報(BioProcess Internationalの報道、WuXi Biologicsの2025年8月の発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。論文本体は確認していないため、8倍の測定条件は一次情報(Biotechnology Progress)でご確認ください。