クロマト制御

フラクションコレクター

フラクションコレクターは、クロマトグラフィーの溶出液をフラクション(画分)として分取・回収する装置です。検出器のシグナルに連動してピーク単位で集める方法と、時間や容量で機械的に区切る方法を使い分け、プレート・チューブ・ボトルなどの容器に分けて受けます。analytical(分析スケール)からprep(分取スケール)まで、クロマトシステムと連携して目的成分を回収する役割を担います。

ピークベース分取プール判断プレート/チューブ回収analytical/prep両用
分類
クロマト制御
主な用途
ピークベース分取 / プール判断 / プレート/チューブ回収 / analytical/prep両用
関連モダリティ
抗体医薬 / Fc融合・組換えタンパク質 / 低分子(分取クロマト) / 核酸(オリゴ) / ペプチド・各種
代表メーカー
Cytiva・Bio-Rad・Agilent・Waters ほか計7社
関連キーワード
分取クロマトグラフィー / ピーク分取 / プール判断 / 分取HPLC / フラクション遅延 / ÄKTA

用途・特徴

フラクションコレクターは、カラムから溶出してくる液を、ノズル(プローブ)の移動や分岐バルブの切り替えによって複数の容器へ順番に分けて回収する装置です。UV/可視やELSD、質量分析(MS)などの検出器シグナルを受け取り、ピークの立ち上がり・終わりに合わせて開始・停止する「ピークベース(ピークトリガ)分取」と、一定時間ごと・一定容量ごとに区切る「時間/容量ベース分取」を、目的に応じて切り替えて使います。

検出器とコレクターの間には配管・バルブの体積(デッドボリューム)があるため、シグナルが立ってから実際に液が出口に到達するまでに遅れ(フラクション遅延)が生じます。回収開始/停止のタイミングを正しく合わせるには、この遅延体積を流速から見積もって補正する必要があります。近年の機種はRFIDによるラックの自動認識や遅延の自動キャリブレーション機能を備えるものが増えています。

回収後は、各フラクションを分析(再注入や活性測定など)で確認し、目的成分・純度を満たす画分だけをまとめる「プール」を行います。どこからどこまでを1本の製品(プール)とするかの判断(プール判断)は、純度・収量・不純物の混入リスクのトレードオフであり、分取クロマト運用の要になります。

Point
  • ピークベース分取(スロープ/閾値トリガ)で目的ピークだけを狙って集める
  • 時間/容量/ドロップ単位で機械的に区切る分取にも対応する
  • プレート・チューブ・バイアル・ボトルなど複数の容器形式に対応する
  • 検出器(UV・ELSD・MS)シグナルに連動して開始/停止を制御する
  • フラクション遅延体積を補正して回収タイミングを合わせる
  • クロマトシステム(ÄKTA・LC・NGC等)と一体制御・記録できる
  • ボイドや平衡化画分を捨て、必要な画分だけ集めるウィンドウ設定ができる
  • 回収後のプール判断(純度と収量のトレードオフ)が運用上の要点になる

使用方法

基本的には、対象スケールに合う容器・配管を選び、フラクション遅延を補正したうえで分取モードを設定し、溶出に合わせて画分を回収して分析・プールする流れになります。

1分取スケールと容器(プレート/チューブ/ボトル)を選ぶ
2配管・分岐バルブを接続しデッドボリュームを抑える
3検出器とコレクターの遅延体積を補正する
4分取モード(ピーク/時間/容量)を設定する
5トリガ条件(スロープ・閾値・ウィンドウ)を決める
6ボイド・平衡化画分を廃液側へ振り分ける
7溶出に合わせてフラクションを回収する
8各画分を分析し純度・含量を確認する
9目的画分をプール判断でまとめる
10回収量・条件・トレースを記録する
実際の設定は、流速、検出器の種類・感度、配管長・内径、容器の容量と本数、目的成分の溶出幅、許容する純度・収量のバランスによって変わります。粘性の高い溶媒や高流速ではしぶき(スピル)や交差汚染が起きやすく、分岐バルブやスピルフリー設計のノズル、ラック自動認識の活用で再現性を確保します。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)