分析機器の Bruker が、ラベルフリーのナノ粒子キャラクタリゼーション基盤 iNTApharma を発表しました。同社IRリリースおよびBusinessWireによると、2026年2月に米ボストンの SLAS 2026 で公開されたものです。mRNA医薬・遺伝子治療の開発とQCを対象としています。
以下、方式・性能はいずれもメーカーの公表値(第三者検証ではない自己申告)です。
何をする装置か
脂質ナノ粒子(LNP)やウイルスベクターの品質は、粒子の「サイズ」と「濃度」に強く依存します。従来はDLS(動的光散乱)などで集団平均として測ることが多く、標識や希釈・前処理が挙動を変える懸念もありました。iNTApharma は、この測定に別のアプローチを持ち込む装置です。
- 原理:干渉散乱(iSCAT)検出に基づき、マスフォトメトリーと同系統の光学計測を応用。技術基盤はドイツ・マックスプランク光科学研究所(MPL)で開発されたものとされます。
- 測定:標識・化学修飾なしに、ネイティブな水系バッファーのまま、ナノスケール生体粒子を単一粒子感度で定量。サイズと濃度を数分で得られるとします。粒子サイズは50〜300nmに最適化。
- 自動化:ウェルプレートリーダー機能を内蔵し、取得を自動化するとしています。
- 対象:細胞外小胞(EV)研究、AAV/アデノウイルス開発、レンチウイルスベクター解析、mRNA送達用のLNP製剤など。
早期アクセスパートナーへ初期システムを配置して実環境で検証し、本格的な商用販売は2026年下半期を予定とのことです。
位置づけと留意点
「集団平均」ではなく「1粒子ごと」にサイズと濃度を捉える方向は、AAVの空・実カプセル比やLNPの粒子分布のように、平均値だけでは見えない不均一性が品質を左右する対象で意味を持ちます。ラベルフリーかつ短時間という訴求は、開発〜QCでの使い勝手を意識したものと読めます。
一方で、サイズ範囲や測定時間、単一粒子感度はいずれもメーカーの公表値で、実際の性能は試料の種類・濃度・夾雑物によって変わります。現時点では早期アクセス段階で、商用化は2026年下半期予定です。導入検討時は自社の粒子・マトリクスでの検証が前提になります。