純度・凝集体

動的光散乱(DLS)

粒子のブラウン運動による散乱光のゆらぎから拡散係数を求め、ストークス・アインシュタイン式で流体力学的半径(Rh)・粒子径分布・多分散度(PDI)を算出する。少量・非破壊・短時間で凝集の早期検出ができ、製剤スクリーニングや熱安定性(Tm/Tagg)評価、LNP・ウイルスの粒子径確認まで広く使われる。

流体力学的半径粒子径分布多分散度(PDI)凝集早期検出
分類
純度・凝集体
主な用途
流体力学的半径 / 粒子径分布 / 多分散度(PDI) / 凝集早期検出
関連モダリティ
抗体医薬 / Fc融合・組換えタンパク質 / 二重特異性抗体 / ADC / mRNA-LNP / AAV / ワクチン
代表メーカー
Malvern Panalytical・Wyatt / Waters・Anton Paar・HORIBA ほか計5社
関連キーワード
動的光散乱 DLS / 流体力学的半径 Rh / 多分散度 PDI / 凝集体 HMW / 製剤スクリーニング / 熱安定性 Tm Tagg

用途・特徴

DLSはレーザー光を試料に照射し、ブラウン運動する粒子からの散乱光強度の時間ゆらぎを自己相関関数として取得する。減衰の速さから並進拡散係数Dを求め、温度・粘度を既知としてストークス・アインシュタイン式から流体力学的半径Rhへ換算する。測定は数十マイクロリットル〜数百マイクロリットルの少量・非破壊で済み、1測定あたり数十秒〜数分と短い。

得られる主な指標は強度基準の平均粒子径(Z-average)と多分散度(PDI)で、単分散に近いタンパク質溶液でPDIは概ね0.1前後、凝集や夾雑が増えると0.2〜0.3以上に上がる。キュムラント解析でZ-average/PDIを、分布解析(CONTIN等)で多峰の粒子径分布を出す。強度は粒径の6乗に比例するため、微量の大きな凝集体(HMW)にきわめて敏感で、SEC前の凝集スクリーニングに向く。

一方でDLSは分離を伴わないアンサンブル測定のため、近接したサイズの成分を分けにくく、定量性は限定的である。SLS(静的光散乱)を併用すればモル質量や第二ビリアル係数(A2/B22/kD)が得られ、SEC-MALS・AUCと組み合わせることで分布の確定と相互の検証ができる。

Point
  • 流体力学的半径Rh・Z-average・PDIをブラウン運動から算出(非破壊・少量)
  • 散乱強度が粒径の6乗依存のため、微量のHMW凝集体に高感度
  • 温度ランプでTm(融解)・Tagg(凝集開始温度)を取得し熱安定性を評価
  • プレートリーダー型は96/384ウェルで製剤スクリーニングを高スループット化
  • SLS併用でモル質量・kD/A2(コロイド安定性)まで一台で取得可能
  • 高濃度抗体(mAb)の相互作用パラメータ(kD)評価に対応する機種あり
  • LNP・ウイルス(AAV等)の粒子径・PDI確認に利用、CQAの傾向把握に有効
  • 分離を伴わないため成分分離・定量はSEC/AUCで補完する前提で使う

使用方法

キュベット型・プレート型で操作は共通。希釈・脱気・除塵が測定品質を左右するため、サンプル調製を丁寧に行う。

1測定条件設定(温度・分散媒・屈折率/粘度)
2サンプル調製(希釈・脱気)
3ろ過・除塵(0.1〜0.22µm)
4キュベット/ウェル充填・気泡除去
5温度平衡・恒温待ち
6相関関数の測定・繰り返し取得
7キュムラント解析(Z-average/PDI)
8分布解析(CONTIN等)でRh分布
9熱安定性ランプ(Tm/Tagg)
10判定・記録・SEC等へ展開
強度分布は微量の大粒子を過大に見せるため、解釈では体積/個数分布や相関関数のベースライン、相関図の品質指標を必ず確認する。除塵不足の塵・気泡は偽の大粒子ピークとして現れやすい。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)