Product Guide

CE-SDS(キャピラリー電気泳動・純度分析)

CE-SDS(Capillary Electrophoresis - Sodium Dodecyl Sulfate)は、SDS存在下でタンパク質をサイズに応じてキャピラリー内で分離し、主ピーク純度、低分子断片、非還元条件での共有結合性凝集体などを定量する分析法です。SDS-PAGEを自動化・定量化した位置づけで、抗体医薬や組換えタンパク質の純度・サイズ不均一性評価に、SEC-HPLCやicIEFと組み合わせて使われます。装置・キット・分離試薬・解析ソフトをまとめた製品群として運用します。

主ピーク純度還元/非還元断片・凝集体システム適合性

用途・特徴

CE-SDSは、SDSでタンパク質を変性・被覆して電荷とサイズの関係を一定化し、キャピラリーに充填した分離マトリックス(CGE的なふるい効果)の中を電気泳動させてサイズ順に分離する分析法です。検出はUV(214nm付近の吸光)またはLIF(蛍光標識後のレーザー誘起蛍光)で行い、得られた電気泳動図のピークを積分して主ピーク純度(%)や断片・凝集体の割合を算出します。

還元条件では分子内ジスルフィド結合を切断し、抗体であればおおむね重鎖(HC)と軽鎖(LC)に分かれるため、断片化や非グリコシル化重鎖(NGHC)などのサイズ不均一性を評価できます。非還元条件ではインタクトな分子のサイズ分布を保ったまま分析し、共有結合で連結した高分子量種(HMW)や、二重特異性抗体のヘテロダイマー/ホモダイマーといった対合状態の確認に使われます。

SDS-PAGEと比べて分離・検出・積分が機器制御で行われるため定量性と再現性が高く、システム適合性とバリデーションを設定すれば、ICH Q6Bの純度・不純物試験や原薬リリース試験として運用できます。SEC-HPLCが主に非共有結合性の凝集体を見るのに対し、CE-SDSはSDS変性下のサイズ分布と断片・共有結合性凝集を見る、相補的な手法です。

Point
  • SDS存在下でタンパク質をサイズ分離し、主ピーク純度(%)を定量する
  • 還元条件で断片化・NGHCなどを、非還元条件で共有結合性凝集(HMW)を評価する
  • 二重特異性抗体ではヘテロダイマー/ホモダイマーの対合状態確認に使われる
  • 検出はUV(吸光)とLIF(蛍光標識)があり、感度と前処理の手間が異なる
  • SDS-PAGEを自動化・定量化した手法で、定量性・再現性が高い
  • SEC-HPLC(非共有結合性凝集)やicIEF(電荷不均一性)と相補的に使う
  • システム適合性とバリデーションを設定すればGMP規格試験として運用できる
  • 装置・キャピラリー・分離試薬・標準品・解析ソフトをまとめて選定する

使用方法

サンプルをSDSで変性し、還元/非還元の条件を選んで調製した後、キャピラリーに分離マトリックスを充填し、電気的注入・分離・検出を経てピークを積分します。

1サンプルをSDSサンプルバッファで変性する(還元/非還元を選択)
2還元時は還元剤、非還元時は遊離チオールのアルキル化を行う
3内部標準を添加し、加熱変性後に冷却・遠心する
4キャピラリーに分離マトリックス(ゲル試薬)を充填する
5サンプルを電気的(または圧力)に注入する
6電圧を印加してサイズに応じて電気泳動分離する
7UVまたはLIFで検出し、電気泳動図を取得する
8ピークを積分し、主ピーク純度(%)・断片・凝集体を算出する
9システム適合性(分離度・再現性・移動時間)を確認する
10規格と照合し、リリース・工程内管理・安定性として判定する
実際の条件は、対象タンパク質、検出方式(UV/LIF)、キット・分離試薬、加熱温度・時間、還元剤・アルキル化剤、内部標準、積分パラメータ、装置・ソフト、試験法バリデーションの有無によって変わります。熱変性条件は断片化アーチファクトに影響するため、設定の固定と検証が前提です。

CE-SDS と SDS-PAGE の違いは?

CE-SDSとSDS-PAGEは、どちらもSDS変性下でタンパク質をサイズ分離しますが、定量性・自動化・GMP運用のしやすさに違いがあります。

結論

SDS-PAGEは「簡易・補助的なサイズ確認」に向き、CE-SDSは「定量的でGMP運用しやすいサイズ純度試験」に向きます。

分離場所

ポリアクリルアミドゲル中

キャピラリー内の分離マトリックス

操作

ゲル作製・泳動・染色など手作業が多い

注入〜検出を装置が自動制御

検出・定量

染色後の画像濃度(半定量)

UV/LIFのピーク積分(定量的)

主ピーク純度

面積比の算出は限定的

主ピーク%として算出できる

再現性

操作者・ゲルロット依存が大きい

装置制御で再現性が高い

断片・凝集の評価

バンドとして確認

断片・共有結合性凝集を定量

システム適合性

設定しにくい

分離度・再現性などを設定可能

GMP適性

確認・補助的用途が中心

規格試験として運用しやすい

CE-SDSの選定軸

検出方式(UV/LIF)UVは前処理が簡便、LIFは蛍光標識で高感度。微量不純物の検出要件に合うか
スループットシングルキャピラリー型か、8チャネルなど複数キャピラリーの並列処理型か
還元・非還元対応還元/非還元の両条件、アルキル化を含むワークフローに対応するか
キット・試薬入手性純度評価キットや分離試薬が安定供給され、ロット管理できるか
分離能主ピークと近接断片・NGHC・凝集体を分離できる分離度が得られるか
自動化・サンプル数サンプル前処理・連続測定・夜間運転など処理量に見合う自動化があるか
CSV・21 CFR Part 11対応監査証跡、ユーザー権限、電子記録・電子署名に対応するか
再現性主ピーク%・移動時間・面積の日内/日間再現性が要求精度を満たすか
サポート国内保守、IQ/OQ、メソッド移管・トラブル対応の支援があるか
標準品・参照物質純度評価用の標準品や内部標準、システム適合性試料が入手できるか
メソッド移管開発からQCへの装置間・拠点間でメソッドが移管しやすいか
消耗品コストキャピラリー・分離試薬・サンプルバッファの運用コストとランニング

測定する主な項目

項目内容主な条件・場面
主ピーク純度(Main peak %)目的タンパク質の主ピーク面積比還元・非還元の両条件で算出
低分子断片(LMW)断片化由来の小さいサイズ種還元条件での断片化評価
非還元での共有結合凝集(HMW)ジスルフィド架橋などで連結した高分子量種非還元条件でのサイズ分布
重鎖・軽鎖比、NGHCHC/LCの比、非グリコシル化重鎖抗体の還元条件
ヘテロ/ホモダイマー二重特異性抗体の対合状態非還元条件での対合確認

主な注意点

注意点内容
熱変性によるアーチファクト加熱温度・時間が過剰だと断片化が進み、見かけの純度が低下する。条件を固定し検証する
還元剤・アルキル化非還元では遊離チオールをアルキル化しないと再酸化・人為的な架橋が起こりうる
フラグメント化保存・調製中の断片化と試料由来の断片を区別する。前処理や保管条件の影響を確認する
システム適合性分離度・移動時間・再現性などの基準を設定し、各測定で適合性を確認してから判定する

使用される工程

CE-SDSは、純度・サイズ不均一性の評価が必要な工程で、開発からQCリリースまで幅広く使われます。

原薬リリース試験

規格に基づき主ピーク純度・断片・凝集体を判定する。

主な用途
  • 規格試験
  • 主ピーク%判定

工程内管理(IPC)

精製中間体の純度・断片化を工程内で確認する。

主な用途
  • IPC
  • 純度確認

安定性試験

保存条件・期間に伴う断片化・凝集の経時変化を追跡する。

主な用途
  • 経時変化
  • 断片・凝集

クローン・プロセス開発

クローンや培養・精製条件ごとの純度プロファイルを比較する。

主な用途
  • クローン比較
  • 条件最適化

二重特異性の対合確認

非還元条件でヘテロ/ホモダイマーの対合状態を確認する。

主な用途
  • 対合確認
  • 非還元分析

特性解析

サイズ不均一性、断片、NGHCなどを特性解析の一部として評価する。

主な用途
  • サイズ不均一性
  • NGHC

ロット間一貫性評価

製造ロット間で純度プロファイルの一貫性を確認する。

主な用途
  • ロット比較
  • 一貫性

比較性・変更管理

工程変更や拠点移管の前後で純度プロファイルを比較する。

主な用途
  • 比較性
  • 変更前後

使用されるモダリティー

CE-SDSは、サイズ純度・断片・共有結合性凝集の評価が重要なタンパク質系モダリティーで主に使われます。

抗体医薬
関連度
主ピーク純度HC/LC・断片非還元HMW
純度・サイズ不均一性評価の標準的手法として使われる。
二重特異性抗体
関連度
対合確認ヘテロ/ホモダイマー断片
非還元条件で対合状態と純度を確認する。
ADC
関連度
抗体部分の純度断片・凝集結合前後
抗体骨格のサイズ純度評価に使われる。
Fc融合・組換えタンパク質
関連度
主ピーク純度断片非還元サイズ
組換えタンパク質のサイズ純度評価に使われる。
ワクチン
関連度
タンパク質抗原純度サイズ確認
タンパク質抗原のサイズ・純度確認で限定的に使われる。

メーカー製品

関連製品

関連記事

純度とは?抗体医薬における凝集体・断片の評価とSEC / CE-SDS分析基礎知識・分析純度とは?抗体医薬における凝集体・断片の評価とSEC / CE-SDS分析細胞株開発とは?抗体医薬に使う産生細胞株をどう構築・評価するか基礎知識・培養細胞株開発とは?抗体医薬に使う産生細胞株をどう構築・評価するか電荷異性体とは?抗体医薬における酸性・塩基性バリアントとCEX-HPLC / icIEF分析基礎知識・分析電荷異性体とは?抗体医薬における酸性・塩基性バリアントとCEX-HPLC / icIEF分析製品由来不純物と工程由来不純物の違いとは?抗体医薬の品質評価で見るべき不純物を整理する基礎知識・分析製品由来不純物と工程由来不純物の違いとは?抗体医薬の品質評価で見るべき不純物を整理する糖鎖分析とは?抗体医薬における糖鎖プロファイルを評価する基礎知識・分析糖鎖分析とは?抗体医薬における糖鎖プロファイルを評価する