Bio-Techne(R&D Systems)とRefeynは2026年6月4日、二重特異性抗体およびバイオシミラーのキャラクタリゼーションに向けた統合ワークフローを発表した。R&D Systemsのイメージドキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)システム「MauriceFlex」による電荷変異体の分取と、Refeynのマスフォトメーター「TwoMP」によるサイズ・凝集解析を連結することで、従来は別個の手法でしか得られなかった「電荷変異体ごとのサイズ・凝集情報」を単一のワークフローで取得できるとする。ナノグラム量の試料で約4時間という短時間での解析を可能にし、二重特異性抗体の複雑な構造に起因するキャラクタリゼーションの課題に対応する。
電荷変異体を分取し、各画分をマスフォトメトリーで測る
本ワークフローではまず「MauriceFlex」のicIEFで電荷変異体を分離・分取する。続いて分取した各画分をRefeynの「TwoMP」マスフォトメーターで解析し、サイズ分布と凝集の状態を単一分子レベルで測定する。マスフォトメトリーは溶液中の単一粒子による光散乱から分子量を求める手法で、標識不要かつナノグラム量の試料で測定できる点が特徴。両社は、icIEFで分離した電荷変異体それぞれについて凝集とサイズを直接特性評価できることは「単独の手法ではアクセスできない知見」だとしており、電荷ヘテロジェニティと分子量・凝集を直接相関づけられるとする。
二重特異性抗体・バイオシミラーの解析課題に対応
二重特異性抗体は最も成長の速いバイオ医薬モダリティの一つだが、構造の複雑さから十分なキャラクタリゼーションが難しく、評価が不十分なまま進めると開発の遅延や製造リスク、後期段階での失敗につながりうる。両社は共催ウェビナーで、二重特異性抗体Mosunetuzumab-axgbとそのバイオシミラーを用い、複数条件下で電荷変異体画分にまたがるサイズ関連の変化を追跡するデモを示した。Refeynのマスフォトメトリーはナノグラム量で済むため、icIEF分取で得られる少量の画分でも解析が成立する点が、この連結を実用的にしている。
約4時間のワークフローと開発現場での意味
両社は、電荷変異体の分離から各画分のサイズ・凝集解析までを約4時間で完了できるとしている。複数の試験に頼らずに電荷とサイズの両面を同一ワークフローで評価できることで、プロセス開発の効率化と迅速化に寄与するという。Refeyn CEOは「研究者は電荷変異体とサイズ変異体を単一のワークフローで同時に問い直せるようになった」と述べている。
位置づけ
本件は装置単体の新発売ではなく、既存の2つのプラットフォーム(Bio-TechneのicIEF分取システムとRefeynのマスフォトメーター)を連結した統合ワークフローの提案である点が特徴だ。分析・QC・キャラクタリゼーションの領域では、電荷変異体解析(icIEF/iCIEF)とサイズ・凝集解析(SEC、AUC、マスフォトメトリー等)は別々に行われ、両者を紐づけるのが難しかった。本ワークフローは「分取した電荷画分そのものをサイズ・凝集解析にかける」ことでこのギャップを埋めようとするもので、二重特異性抗体やバイオシミラーのように電荷とサイズの相関が重要となる分子で、開発初期のキャラクタリゼーションを効率化しうる。Thermo Fisher/Cytiva/Sartoriusとは異なる分析プレイヤー同士の連携という点でも、PAT・QC装置市場の動向として注目される。
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