電荷・糖鎖

icIEF(イメージドキャピラリー等電点電気泳動)

icIEF(イメージドキャピラリー等電点電気泳動)は、両性担体でキャピラリー全長にpH勾配を形成し、タンパク質を等電点(pI)の位置に集束させて分離する電荷異性体分析手法です。pIマーカーで横軸を校正し、酸性側・主成分・塩基性側の各ピークについてpIと面積百分率(%)を取得します。全カラムイメージング検出により移動を待たずに集束像をそのまま読み取れるのが特徴で、CEX-HPLCと相補的に運用されます。

等電点(pI)電荷異性体両性担体・pIマーカー全カラムイメージング
分類
電荷・糖鎖
主な用途
等電点(pI) / 電荷異性体 / 両性担体・pIマーカー / 全カラムイメージング
関連モダリティ
抗体医薬 / 二重特異性抗体 / ADC / Fc融合・組換えタンパク質 / ワクチン
代表メーカー
Bio-Techne(ProteinSimple)・Advanced Electrophoresis Solutions(AES)・SCIEX・Cytiva ほか計5社
関連キーワード
等電点 / pI / 電荷異性体 / icIEF / 両性担体 / pIマーカー

用途・特徴

icIEFでは、キャピラリー内に両性担体(carrier ampholyte)を満たして電圧を印加すると、両性担体が自身のpIに従って整列し、陽極(酸性)から陰極(塩基性)へ向かう連続的なpH勾配が形成されます。試料中のタンパク質は正味電荷がゼロになるpHの位置まで移動して集束し、酸性種・主成分・塩基性種が分かれて検出されます。

従来のキャピラリーIEFが集束帯を検出窓まで移動(モビライゼーション)させて1点で検出するのに対し、icIEFはキャピラリー全長を撮像してすべての集束帯を同時に読み取ります。モビライゼーション工程が不要なため分析時間が短く、ピーク位置の再現性やプロファイル形状の把握に向きます。

横軸のpHは、既知pIのpIマーカーを試料と同時に泳動して内部校正します。電荷を変える主な要因は脱アミド(Asn→Asp/isoAsp)、C末端Lysの残存、シアル酸付加、N末端ピログルタミン酸化、グリケーションなどで、これらはCQA(重要品質特性)として原薬・製剤の規格や比較同等性評価で監視されます。

Point
  • 両性担体でpH勾配を形成し、pIの差でタンパク質を集束・分離
  • 酸性種/主成分/塩基性種のpIと面積百分率(%)を取得
  • 全カラムイメージング検出でモビライゼーション不要・短時間
  • pIマーカーで横軸pHを内部校正し、pI値を再現性よく付与
  • 脱アミド・C末端Lys・シアル酸等の電荷を変える修飾を反映
  • UV吸収検出に加え、native蛍光検出で低濃度試料に対応する機種もある
  • 両性担体ロット差・尿素/添加剤の影響を管理する必要がある
  • CEX-HPLCと相補運用し、ピーク帰属はLC-MS等で裏取り

使用方法

代表的な流れは、両性担体・pIマーカーを含む試料溶液を調製し、キャピラリーへ導入してプレフォーカス/フォーカスを行い、全カラム像から各ピークのpIと面積%を算出する手順です。

1CQAと管理対象(脱アミド/C末端Lys等)を整理
2両性担体のpH範囲とpIマーカーを選定
3試料・両性担体・pIマーカーを混合し試料溶液を調製
4キャピラリーへ導入しプレフォーカス
5高電圧を印加しpIに集束(フォーカス)
6全カラムをイメージング検出(UV/native蛍光)
7pIマーカーで横軸pHを校正
8酸性種/主成分/塩基性種のpI・面積%を算出
9システム適合性(pI再現性・分離)を確認
10規格判定・ロット間/同等性で比較
実際の条件は、対象分子のpI、両性担体のpH範囲とブレンド、pIマーカーの選定、添加剤(尿素・界面活性剤・糖類)、フォーカス時間・電圧、検出方式(UV280nmまたはnative蛍光)によって変わります。C末端LysはカルボキシペプチダーゼB処理で前処理する場合もあります。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)