PHC が、ノンフロン -85℃超低温フリーザーの「VIP SMART」「Frostless」両シリーズを刷新した。いずれも700Lと500Lの2機種で、700Lが9月、500Lが後日の発売となる。
目を引くのは電気代のほうです。VIP SMART は自然冷媒と2回路インバーター制御を採り、1日あたりの消費電力を5.4kWhに抑えたとしています。同社はこれを超低温フリーザーとして業界トップ水準の省エネ性能だと説明しています。Frostless のほうは、内扉に真空断熱パネル(VIP)を入れて断熱を上げ、内扉に付く霜を減らしました。霜取りの手間が減る、という現場寄りの改良です。
電気代と霜が、地味に効いてくる理由
超低温フリーザーは、いったん入れたら年単位で止められない装置です。セルバンク、原薬、臨床検体。中身が高価なほど、止められません。
つまり24時間365日、電気を食い続けるということです。1台あたりの差が小さく見えても、台数と年数を掛けると効きます。1日5.4kWh は、年間でおよそ2,000kWh弱の水準にあたります。ラボの光熱費に占める割合が大きい装置なので、更新時にここを見る施設は多いはずです。
霜のほうは、電気代ではなく中身の安全の話です。内扉に霜が付くと、開閉のたびに庫内へ冷気が入りにくくなり、扉の密着も甘くなります。霜取りのために中身を移す作業も、そのつどリスクになります。細胞の凍結保存とコールドチェーンで問われるのは温度の記録だけではなく、記録に出ない温度の揺らぎをどう減らすかです。霜を減らす設計は、その一手にあたります。
冷媒がノンフロンであることも、いまは選定条件に入ってきます。フロン類の規制は段階的に進んでおり、装置の寿命が10年を超える以上、更新時点での規制ではなく更新後の規制で考える必要があります。
なお、価格と販売目標は公表されていません。冷凍能力や温度復帰の速さといった、実務で効く数値も発表資料からは読み取れません。
※ 本ページは公開情報(PHC の発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。仕様・価格の詳細は一次情報および各社の公式発表をご確認ください。