英国の EpilepsyGTx が、遺伝子治療 EPY201 の製造を Viralgen に委託する。2026年9月9日に発表した。対象は焦点性難治てんかん(FRE)で、初回ヒト試験は2027年前半に始まる見込みである。
発表で目を引くのは、Viralgen 側が挙げた数字です。自社の Aava プラットフォームで、これまでに 1,500バッチの AAV を作ってきたとしています。
数を作ってきたこと自体が売り物になる
遺伝子治療の受託では、設備の大きさや収量が前に出がちです。今回の発表はそこではなく、同じ作り方を何度繰り返したかを先に置いています。
理由は工程の性質にあります。AAV は生き物に作らせるので、同じ手順でも出来にばらつきます。空・実比も残存DNAも、ロットごとに振れる。振れ幅がどれくらいかは、回数をこなさないと分かりません。1,500という数字は、その振れ幅を知っているという主張です。
規制の側から見ても同じです。承認申請では、製造方法が一貫して同じ品質を出せることを示します。初めて作る工程では、その根拠を一から積むことになります。既に走っている型に載せられるなら、そこが短くなる。
EpilepsyGTx の Nicolas Koebel CEO は、Viralgen を選んだ理由として、初期開発から商業規模まで一貫して支えられる製造基盤と、規制対応の実績を挙げています。臨床に入る前の段階で製造先を決めるとき、見ているのは設備ではなく履歴だということが、この言い方に出ています。
対象疾患の規模
FRE は、脳の特定の部位から発作が起きるてんかんのうち、適切に選ばれた2種類以上の抗てんかん薬を試しても発作が止まらないものを指します。患者は世界で約1,000万人、うち米国・英国・EUで約200万人と発表にあります。
希少疾患の遺伝子治療は数十人規模で始まることが多いのですが、この数は桁が違います。臨床で効いた場合、製造能力がそのまま供給の上限になります。開発の初期から商業規模まで同じプラットフォームで通せるかどうかを先に確かめておく理由は、ここにあります。
Viralgen は AskBio 傘下で、AskBio は Bayer のグループに入っています。ウイルスベクターの受託先をどう選ぶかという判断では、資本の後ろ盾も見る材料の一つです。
契約金額、製造するバッチ数、使用する血清型、製造拠点の所在は、発表からは分かりません。
※ 本ページは公開情報(EpilepsyGTx および Viralgen の発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。契約条件・時期の詳細は一次情報および各社の公式発表をご確認ください。