酵素・試薬

プロテロメラーゼ(TelN・末端閉環酵素)

プロテロメラーゼは、直鎖状DNA中の特定の認識配列(TelNで約56 bp)を切断し、切断部を共有結合で閉じたヘアピン末端に変換するテロメアリゾルバーゼです。RCAで生成した直鎖状コンカテマーを、両端が閉じた直鎖状DNA(doggybone/dbDNA)へ整形する末端結合酵素として使われます。

プロテロメラーゼTelNTelAdbDNA閉端直鎖状DNAセルフリーDNA
分類
酵素・試薬
主な用途
プロテロメラーゼ / TelN / TelA / dbDNA / 閉端直鎖状DNA / セルフリーDNA
関連モダリティ
DNA医薬・DNAワクチン / mRNA-LNP / AAV・遺伝子治療 / ウイルスベクター・細胞治療
代表メーカー
New England Biolabs・Touchlight(2社)
関連キーワード
プロテロメラーゼ / TelN protelomerase / TelA protelomerase / doggybone DNA / dbDNA / 閉端直鎖状DNA

用途・特徴

プロテロメラーゼ(テロメアリゾルバーゼ)は、ファージや細菌に由来する末端結合酵素です。代表的なTelN(ファージN15由来)は、dsDNA中の約56 bpの認識配列(telRL)でチロシン介在型の切断を行い、切断端を共有結合で閉じたヘアピン構造に変換します。この反応により、両端が閉じた直鎖状DNA(doggybone/dbDNA)が得られます。

dbDNA合成の典型的なワークフローでは、環状鋳型をRCA(phi29ポリメラーゼ)で増幅して直鎖状コンカテマーを生成し、そこに含まれる認識配列をプロテロメラーゼで切断・閉環します。閉端はエキソヌクレアーゼ耐性を持つため、開放端を持つ副産物や未反応鎖を後段の消化・精製で選択的に除去できます。

供給元は限られるニッチな酵素です。New England BiolabsがEnClose製品ラインとしてTelN/TelAプロテロメラーゼおよびセルフリーdbDNA合成キットを提供し、Touchlightは自社dbDNAプラットフォーム上で独自に用いる受託形態をとります。性能や仕様は各メーカーの公表情報に基づく点にご留意ください。

Point
  • TelNはファージN15由来で、約56 bpの認識配列を切断し共有結合閉端(ヘアピン)を形成するとメーカーは説明しています
  • TelA(EnClose)はAgrobacterium tumefaciens由来を改変した酵素で、約50 bp(最小26 bp)の別系統の認識配列を用います
  • 閉端はエキソヌクレアーゼ耐性を持ち、開放端側の副産物を選択的に消化・除去する後段精製と相性が良いとされます
  • RCA(phi29)で得た直鎖状コンカテマーの閉端化に用いる末端結合酵素です
  • doggybone/dbDNAは細菌由来配列・抗生物質耐性遺伝子を含まない閉端直鎖状DNAとして案内されます
  • NEBのM0651(TelN)は2026年6月に販売終了し、後継のEnClose TelN(M0768)へ更新されています
  • 供給元が限られるニッチな酵素で、酵素単体・合成キット・受託の各形態があります
  • 認識配列(telRL等)は鋳型設計時にプラスミド/コンストラクトへ組み込む必要があります

使用方法

RCAコンカテマーからdbDNAを整形する標準的な流れです。実際の反応条件・単位数はメーカーのプロトコルに従ってください。

1認識配列を組み込んだ環状鋳型を用意
2phi29ポリメラーゼでRCA・直鎖状コンカテマー生成
3プロテロメラーゼで認識配列を切断・閉環
4制限酵素・エキソヌクレアーゼで開放端副産物を消化
5ろ過・クロマトで閉端dbDNAを精製
6純度・閉端率・残存背景を分析で確認
認識配列(telRL等)はTelN/TelAで異なるため、使用する酵素に合わせて鋳型設計を行う必要があります。単位定義・反応温度・失活条件は各製品のプロトコルを確認してください。