がんの増殖や浸潤、炎症、心不全などに関わるキナーゼ MAP4K4 の特定の部位を狙う結合タンパク質を、計算で設計したプレプリントが bioRxiv に公開された。抄録によれば、RFdiffusion・ProteinMPNN・AlphaFold2 を組み合わせたパイプラインと、一括で設計する BindCraft を使い、AlphaFold3 で評価しています。
背景として、MAP4K4 には臨床で使われている選択的な低分子阻害剤がなく、既存の抗体についてもどの部位に結合しているかが分かっていないものがあるため、表面の特定の場所を狙う小さなタンパク質に役割が残っている、とされています。
「小さなタンパク質」という選択肢
標的に結合する分子として、低分子と抗体の間には隙間があります。
- 低分子は小さく、細胞の中に入れます。ただし、平らな表面や広い界面には効きにくいことがあります
- 抗体は選択性が高く、広い面で結合できます。ただし大きく、細胞の中には入りません
de novo 設計の結合タンパク質は、この中間にあたります。抗体より小さく、標的の狙った場所に合わせて形を作れます。抗体の探索手法のように免疫やライブラリに依存せず、配列を計算で出す点が違います。
キナーゼが標的の場合、低分子はATP結合部位を狙うことが多く、そこは他のキナーゼと似ているため選択性の確保が難しくなります。ATP結合部位以外の場所を狙えるなら、選択性の問題は別の形になります。
計算で出したものは測らないと分からない
抄録が AlphaFold3 による評価に触れているとおり、設計の後には検証が続きます。ただし、構造予測はあくまで予測です。
高スループットの結合測定でAI設計の分子を大量に検証する取り組みが進んでいるのも、この工程が律速になるためです。
なお、これはプレプリントで査読を経ていません。実験での検証の有無や結果は抄録からは分かりません。
※ 本ページは公開情報(bioRxiv のプレプリント)をもとにしたProglenth編集部による整理です。プレプリントは査読を経ていません。手法・結果の詳細は一次情報をご確認ください。