体内(in vivo)CAR-T細胞療法を開発するスタートアップNavaが8900万ドルを調達して始動した。同社が取り組む中核課題は、RNAデリバリーにおける「肝臓問題」だ。現行のLNP(脂質ナノ粒子)ベースのRNAデリバリーシステムは、静脈投与後に大部分が肝臓へ集積するという生体分布上の偏りを持つ。T細胞を標的にして体内でCAR-T細胞を生成するには、この問題を克服し、特定の免疫細胞へ選択的にRNAを届ける技術が必要となる。
体内CAR-Tとは何か、なぜ製造の問題なのか
従来のCAR-T療法は、患者から採血してT細胞を取り出し、体外(ex vivo)でCARを導入してから再輸注するという複雑で時間のかかるプロセスを必要とする。これに対してin vivo CAR-Tは、CAR遺伝子をコードするRNA分子を直接体内に投与し、生体内のT細胞を「その場でプログラム」する発想だ。製造コストの劇的な削減と患者へのアクセス拡大が期待される一方、T細胞への選択的デリバリー、発現の持続期間の制御、免疫原性などの技術的障壁が立ちはだかる。製造面では、ex vivoとは根本的に異なり、デリバリービークル(LNPや非ウイルス性ベクター)そのものの大量生産プロセスが中心課題となる。
LNP製造とターゲティングの交差点
in vivo CAR-Tの実現には、高品質なRNAそのものの製造だけでなく、免疫細胞選択性を持つ次世代デリバリープラットフォームの開発・製造基盤が必要になる。現行のmRNA-LNP製造技術は急速に成熟しつつあるが、T細胞への選択的集積を持つ機能性LNPやナノ粒子の設計・製造は、まだ開発段階にある。Navaがどのような製造アプローチをとるか詳細は明らかになっていないが、この分野の進展はRNAデリバリー製造全般に示唆を与えるものとして、業界の関心を集めている。in vivo CAR-Tの製造・規制課題とLNP製造プロセスの観点から引き続き注視したい。
※ 本ページは公開情報(Tech Times報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。