Nirrin Technologiesが、タンパク質の直接定量システム「TALOS™」を2026年6月に発売した。同社独自の高精度チューナブルレーザー分光(HPTLS™:High-Precision Tunable Laser Spectroscopy)を基盤とし、従来の可変光路長UV測定に代えて、近赤外(NIR)でペプチド主鎖を固定光路のまま測る方式をとる。0.1〜250 mg/mLという広い濃度域を、15µLの試料から数秒で定量できるとしている。加えて同社は6月中旬、日本市場での独占販売パートナーにS.T. Japanを指名したと発表した。
「希釈しない・光路を動かさない」が何を変えるか
タンパク質濃度の測定は、バイオ医薬の工程でおそらく最も繰り返される作業のひとつだ。ただし高濃度の試料をそのままUVで測ると吸光が振り切れるため、実務では希釈するか、光路長を機械的に変えて対応してきた。希釈は手数が増えるうえ、希釈倍率そのものが誤差要因になる。可動部を持つ光学系は、装置間・拠点間での揃え込みに手間がかかる。
TALOS™はここを、固定光路のNIR測定で回避する設計だという。分子ごとの検量線作成も不要とされ、扱う分子が変わっても同じ手順で測れることになる。抗体の力価・濃度測定から、高濃度製剤のように粘度が問題になる領域まで、同じ装置で追える点が実務上の利点になる。
at-line/in-line/in situ を1台で
もう一つの特徴は設置形態の自由度だ。同社によれば、TALOS™はat-line(工程の傍ら)、in-line(工程ライン内)、in situ(その場)のいずれでも運用でき、ユニットオペレーションやスケール、製造拠点をまたいで転用できるという。開発初期からGMP製造までを同じ測定方式で通せれば、スケールや拠点が変わるたびに測定法を組み直す負担が減る。
工程内計測(PAT)の考え方が広がるなか、測定を「後追いの試験」から「工程中の判断材料」へ寄せる動きは続いている。日本での供給がS.T. Japanを通じて始まることで、国内の開発・製造現場でも検討しやすくなりそうだ。
※ 本ページは公開情報(BusinessWire発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。