100種類を超える異なる部品から RNA のナノ構造を自己組織化させたプレプリントが bioRxiv に公開された。抄録によれば、RNA は DNA より構造モチーフと生物学的機能の幅が広いにもかかわらず、これまで作られてきた RNA ナノ構造は DNAオリガミや DNAブリックほど複雑でもスケーラブルでもなかったとされています。
その理由として挙げられているのが、多数の異なる一本鎖RNAを合成する費用の高さです。DNA の手法をそのまま持ち込もうとすると、ここで詰まります。
「配列の数」がコストになる
DNAオリガミは、長い一本鎖の足場に、多数の短い合成DNA(ステープル)を結合させて形を作ります。DNAブリックも同様に、多数の異なる短い鎖のライブラリに依存します。
RNAで同じことをするなら、100種類以上の異なるRNAを用意することになります。固相合成で作れば、種類の数だけ合成のコストがかかります。DNAより不安定で、収率も落ちます。
抄録が2つ目の障壁を明示していないため詳細は分かりませんが、部品の作り方を変えることが解決の方向になるのは想像がつきます。転写で作れば1本の鋳型から多数のRNAを得られるためです。
医薬品の側から見ると
RNAで構造を組めることの意味は、単に細かい形が作れることではありません。構造そのものに機能を持たせられる点にあります。
- 標的に結合するアプタマー
- 反応を触媒するリボザイム
- 条件によって形を変えるスイッチ
これらを1つの構造の中に配置できれば、核酸医薬の設計の幅が広がります。送達の観点でも、脂質ナノ粒子とは別の形で、大きさや表面を設計できる可能性があります。
一方、製造の観点では課題が増えます。100種類の部品を使う製品は、部品ごとの規格と、組み上がった後の規格の両方が要ります。核酸のQCで扱ってきた純度や整合性の考え方を、そのまま当てはめるのは難しいはずです。
なお、これはプレプリントで査読を経ていません。手法の詳細や収率は抄録からは分かりません。
※ 本ページは公開情報(bioRxiv のプレプリント)をもとにしたProglenth編集部による整理です。プレプリントは査読を経ていません。手法・結果の詳細は一次情報をご確認ください。