細胞株開発・クローン選抜
細胞株の遺伝学的評価、導入配列、変異確認の前処理に使われる。
- 遺伝学的評価
ライブラリー調製・前処理は、NGS解析に使用するDNAやRNAサンプルを、シーケンサーで読み取れる形に変換する工程です。断片化、末端修復、アダプター付加、インデックス付加、PCR増幅、ターゲット濃縮、精製、定量、品質確認などを行い、「シーケンスライブラリー」と呼ばれる状態に整えます。ライブラリー調製の品質は、NGSデータの品質に大きく影響します。
ライブラリー調製・前処理は、DNA/RNAサンプルをNGSに適した形へ変換するために使われます。主な処理には、核酸抽出後の品質確認、DNA断片化、RNA逆転写、アダプター付加、インデックス付加、PCR増幅、ターゲット濃縮、ビーズ精製、ライブラリー定量、サイズ確認があります。
解析目的によって、全ゲノムシーケンス、ターゲットシーケンス、RNA-seq、アンプリコンシーケンス、メタゲノム解析、外来性ウイルス検出、ロングリードシーケンスなど、必要な前処理が異なります。
基本的には、抽出したDNA/RNAの品質を確認し、解析目的に応じたライブラリー調製キットで前処理を行います。
DNA/RNA抽出とライブラリー調製は連続した工程ですが、目的が異なります。
DNA/RNA抽出は「核酸を取り出す工程」、ライブラリー調製は「NGSで読める形に加工する工程」と考えるとわかりやすくなります。
サンプルから核酸を取り出す
核酸をNGSで読める形にする
細胞、組織、血液、培養上清、工程液
抽出済みDNA/RNA
溶解、結合、洗浄、溶出
断片化、アダプター付加、インデックス付加、増幅
PCR、dPCR、NGS、Sanger
NGSシーケンス
濃度、純度、分解状態
ライブラリーサイズ、濃度、アダプターダイマー
DNA/RNA抽出装置
自動分注装置、断片化装置、PCR装置、QC装置
| 項目 | PCR/Sanger前処理 | NGSライブラリー調製 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 特定領域、PCR産物、プラスミド | 多数のDNA/RNA断片 |
| 主な目的 | 狙った配列を増幅・確認する | 多数断片を並列に読める状態にする |
| アダプター | 基本的には不要 | 必要 |
| インデックス | 基本的には不要 | 多サンプル同時解析で必要 |
| QC | PCR産物確認、濃度確認 | サイズ分布、濃度、アダプターダイマー確認 |
| 解析規模 | 小さい | 大きい |
| 方式 | 内容 | 向く用途 |
|---|---|---|
| DNAライブラリー調製 | DNAを断片化し、アダプターを付加する | 全ゲノム、ターゲット解析、メタゲノム |
| RNA-seqライブラリー調製 | RNAをcDNA化し、ライブラリー化する | 遺伝子発現、細胞状態解析 |
| アンプリコンライブラリー調製 | PCR産物にアダプターやインデックスを付ける | 遺伝子編集確認、微生物解析、ターゲット解析 |
| ターゲット濃縮 | 特定領域をキャプチャまたはPCRで濃縮する | 変異解析、外来性ウイルス、遺伝子パネル |
| メタゲノムライブラリー調製 | サンプル中の核酸を広くライブラリー化する | 汚染確認、微生物・ウイルス検出 |
| ロングリードライブラリー調製 | 長いDNA/RNAを保持してライブラリー化する | プラスミド全長、AAV構造、構造変異 |
| シングルセルライブラリー調製 | 単一細胞単位でバーコード化する | 細胞治療、免疫解析、細胞集団解析 |
| 外来性ウイルス検出用ライブラリー | ウイルスや微生物核酸を検出しやすい形にする | セルバンク、未精製バルク、細胞治療 |
| ステップ | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 核酸抽出 | DNA/RNAをサンプルから取り出す | 阻害物質、分解、回収率 |
| 核酸定量 | 入力量を確認する | Qubit、NanoDrop、qPCRなど |
| 断片化 | DNAを適切なサイズに切断する | 断片サイズ、過断片化 |
| 末端修復 | DNA断片末端をライゲーション可能にする | 反応効率、酵素条件 |
| アダプター付加 | シーケンサー用アダプターを付ける | アダプターダイマー |
| インデックス付加 | サンプル識別用バーコードを付ける | インデックスホッピング、取り違え |
| PCR増幅 | ライブラリー量を増やす | PCRバイアス、重複率 |
| ターゲット濃縮 | 目的領域を選択的に濃縮する | カバレッジ均一性 |
| ビーズ精製 | 不要物や短い断片を除去する | ビーズ比、回収率 |
| サイズ確認 | ライブラリー分布を確認する | アダプターダイマー、目的サイズ |
| ライブラリー定量 | シーケンス投入量を決める | qPCR、蛍光定量、電気泳動 |
ライブラリー調製・前処理は、NGS解析が関係する多くの工程で使われます。
細胞株の遺伝学的評価、導入配列、変異確認の前処理に使われる。
挿入配列、コピー数、ゲノム挿入部位解析に関係する。
外来性ウイルス検出、細胞同一性、遺伝学的安定性評価の前処理に使われる。
ウイルス、微生物、マイコプラズマ、外来性因子検出に使われる。
未精製バルクや工程液の外来性因子・核酸解析に関係する。
未精製バルク試験や工程中間体解析で使われる。
NGSベースの品質確認、変異解析、配列確認に使われる。
ベクターゲノム、プラスミド、外来性因子解析に使われる。
プラスミド鋳型、Linear DNA、RNA関連解析に使われる。
遺伝子導入、オフターゲット、細胞状態解析に関係する。
編集効率、オフターゲット解析、クローン確認に使われる。
NGSを規格試験や確認試験に使う場合に関係する。
ライブラリー調製・前処理は、核酸解析や安全性評価が関係する多くのモダリティーで使われます。