知っておきたいこと
京都の製造拠点でできること
I Peaceは、臨床用(GMP)の細胞の受託製造を「GMPeace」という名前で受けています。京都市の製造拠点には、GMPの細胞製造室が3室あります。同社は、この施設が米国の基準(21 CFR 210/211とICH Q7)に加え、日本と欧州の基準にも沿っていると説明しています。
米国FDAの医薬品製造施設の登録(登録番号3020167797)と、厚生労働省の特定細胞加工物製造許可を持っています。品質試験のラボは、ISO/IEC 17025の認定を受けています。受けるのは、ドナーの選定からiPS細胞の樹立、セルバンクの作製、遺伝子編集、分化誘導までです。FDAやPMDA、中国のCDEとの面談を経験しており、治験の申請に要る書類の作成や確認も手伝うとしています。
既製のGMP iPS細胞株
自社で樹立した臨床用のiPS細胞株を、既製品として出しています。2人のドナーから作った6株で、契約が決まってから最短1週間で出荷できます。ドナーは、アジア系の50代と白人の20代です。
これらの株は、FDAのドラッグマスターファイルに登録されています。HLAの型はすべて調べてあり、米国で頻度の高いハプロタイプを持つ株や、A・C・DPA1がホモ接合の株もあります。同社によると、心筋細胞、NK細胞、T細胞、肝細胞、間葉系幹細胞、線維芽細胞に分化させた実績があり、臨床試験でも使われました。買う前に、同じ株から作った研究用株で分化のしやすさを見ることもできます。
樹立から始めずに、評価済みの株から開発に入れる形です。
米国の本社と京都の日本法人
I Peace, Inc.の本社は、米国カリフォルニア州パロアルトにあります。日本のアイ・ピース株式会社はその子会社で、京都府に置かれ、製造拠点も京都市にあります。東京には、港区六本木に支店があります。
創業は2015年です。創業者でCEOの田邊剛士氏は、京都大学の山中伸弥研究室で7年間リプログラミングを研究し、ヒトiPS細胞の樹立を初めて報告した論文の第二著者でした。チームには、細胞培養士のほか、設備の設計や施工の技術者、ロボットの技術者も加わっています。
2027年に完成する量産拠点
2026年7月、同社は年間数千人分のiPS細胞を作れる拠点を京都市内に整えると発表しました。経済産業省の「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備支援事業補助金」(CDMO補助金)を使い、2027年の完成を予定しています。医療用細胞の製造、品質評価、工程開発の機能を備え、将来は1万人規模への拡張も計画しています。
補助金の採択を知らせた2025年8月の発表で、同社は新しい施設の狙いを説明しています。自社で開発した自動化の仕組みを進め、複数のドナーの細胞を同時に並行して作れるようにするものです。これまで研究開発の段階にとどまっていたNK細胞などのiPS細胞由来の細胞も、治療に使える製品の製造へ広げるとしています。
既製株の提供と受託製造は、いまある京都の施設で受けています。
日本からの頼み方
窓口は、公式サイトの問い合わせフォームです。日本語のページから送ると、担当者から連絡が来ます。
既製株を使う場合は、研究用株で分化のしやすさを見てから、GMPの株の契約に進む流れが用意されています。自社の手順で作りたい場合は、手順やデータの技術移管と工程開発を経て、GMPでの製造に入ります。研究用のiPS細胞のカスタム作製は、誘導から納品まで2か月で、一度に100クローンまで受けています。