複数のAAV(アデノ随伴ウイルス)プログラムを手がける受託製造業者Forge BiologicsのSumit Dutta氏が、遺伝子治療を確実に届けるには、主要な関係者を早い段階から巻き込むこと、リスク評価を先回りして行うこと、プラットフォームとしての知見を持つことが中核になるとの見解を示した、とGENが報じた。
フル/エンプティ粒子は上流・下流・分析・規制にまたがる課題
工程開発は、上流(ベクター産生)、下流(精製)、分析、製剤、規制対応が、それぞれ別の担当で進みがちだ。AAVでその分業が問題になる代表例がフル/エンプティ粒子で、カプシドの中にゲノムが入った粒子(フル)と空の粒子(エンプティ)が必ず混ざって生じる。エンプティは薬効に寄与せず、免疫応答の負荷にはなる。
上流ではトランスフェクションの条件や細胞株がフル/エンプティの比率を決め、下流では密度勾配遠心やイオン交換で分けるが、上流で比率が悪ければ下流の負荷とロスが大きくなる。分析では、比率をAUC、ddPCR、電子顕微鏡のどれで測るかで見える数字が変わる。規制面では、規格としてどう設定し、何をもって管理するかが問われる。
先回りのリスク評価は工程設計の入力
リスク評価を後から行うと起きた問題の説明になり、先に行えば工程設計の入力になる。AAVで先に詰めておく論点には、プラスミド、トランスフェクション試薬、培地の供給とグレードといった原材料の素性があり、臨床から商用に上がる段階で作り直しになりやすい。ヘルパーウイルスを使う系なら、その除去・不活化の担保をどこで取るかも論点になる。
力価を物理的な粒子数と実際に感染・発現する数のどちらで規格にするかが曖昧なまま進むと、後で全部のデータを読み替えることになる。接着培養で始めて浮遊培養へ移るなら、移る時期と同等性の示し方も先に決めておく。
実務の確認ポイントAAVの製造委託先を選ぶときの留意点
プラットフォーム知見が実務で意味を持つのは、前のプログラムで得た条件と失敗が次のプログラムの初期条件になっている状態だ。使う細胞株、培地、トランスフェクション条件が既定で外れる場合だけ検討し、精製の順序と樹脂も既定のうえで対象の性質に応じて条件を振る。分析法が既定であれば、バリデーションの型も使い回せる。
委託先を選ぶときは、何本のAAVプログラムをどこまでの段階まで運んだ経験があるかを確かめることになる。
※ 本ページは公開情報(GENの報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。発言者はForge BiologicsのSumit Dutta氏です。詳細は一次情報をご確認ください。