CSPC Pharmaceutical Group とアストラゼネカが、バイオ医薬品の製造合弁会社を設立する契約を結んだ。中国・河北省の石家荘に、次世代のバイオ医薬製造拠点を建てる。
報じられている内容によれば、出資比率は CSPCが51%、アストラゼネカが49%で、運営はCSPCが主導する。拠点はCSPCのAIを活用したGMPシステムと、アストラゼネカのグローバルな品質管理・サプライチェーン管理の知見を組み合わせる形になり、当初はグローバル市場向けのバイオ医薬原薬(drug substance)の製造に注力するとされる。
「製品の輸出」から「製造システムの輸出」へ
この案件が示しているのは、中国の製薬企業の国際化のかたちが変わりつつあるということだ。これまでの主流は、開発したパイプラインを国外の企業に導出する(ライセンスアウト)か、製品そのものを輸出する形だった。今回は、製造の仕組みと供給網そのものを国際市場に向けて差し出す構図になっている。
アストラゼネカ側から見れば、バイオ医薬原薬の製造能力を確保する手段である。抗体をはじめとするバイオ医薬は、需要の伸びに対して製造能力の確保が常に課題であり、自前で建てるか、CDMOに委託するか、合弁で押さえるかの選択になる。合弁は、自前ほどの投資を単独で負わずに、委託より深く工程に関与できる中間の選択肢だ。
原薬から始めるという設計
「当初は原薬に注力」という点には意味がある。バイオ医薬の製造は、大きく原薬(drug substance)と製剤(drug product)に分かれる。
- 原薬:細胞培養で目的タンパク質を作り、精製して濃縮した状態まで。培養・精製の設備と技術が要る。
- 製剤:それを最終的な剤形(バイアル・シリンジ等)に充填し、包装する工程。無菌操作の設備と管理が要る。
原薬は輸送できる。凍結して国外の製剤拠点へ運び、そこで最終製品にする運用が広く行われている。原薬から始めるのは、供給網に組み込みやすい単位から入るということであり、製剤・包装まで含めた完成品を各国の規制に合わせて出すより、立ち上げの段取りが軽い。
供給網の地政学という論点
一方で、バイオ医薬の製造をどこに置くかは、近年ますます政治的な論点にもなっている。原薬の調達先の分散、特定地域への依存の度合い、規制当局による査察の実現性——といった観点が、純粋なコストや技術力とは別に評価される。
グローバル市場向けを掲げる以上、この拠点はFDAやEMAの査察を受ける立場になる。AIを活用したGMPシステムという説明が具体的に何を指すのかも含め、実際の運用がどう評価されるかは、稼働後の話になる。
※ 本ページは公開情報(報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。契約の詳細・稼働時期は一次情報および両社の発表をご確認ください。