Chiesi が、噴射剤を HFA-152a に替えた加圧式定量吸入器(pMDI)について、Fostair と Trimbow の欧州での申請を進めている。Manufacturing Chemist によれば、規制当局の審査が始まっており、両製品の二酸化炭素排出量を最大90%削減できる可能性があるとされています。
吸入器の環境負荷は噴射剤で決まる
pMDI は、薬を噴射剤とともに霧にして吸わせる剤形です。この噴射剤に使われてきた HFA-134a や HFA-227ea は、オゾン層を壊さない代わりに温室効果が非常に大きいガスでした。
医薬品全体で見ると、吸入器の占める排出量の割合は無視できない大きさになります。だからこそ、噴射剤をより温室効果の小さいもの(HFA-152a や HFO-1234ze)に替える取り組みが業界全体で進んできました。
噴射剤を替えると、製品全体が変わる
「ガスを差し替えるだけ」には見えますが、実際には製剤の再設計に近い作業になります。
- 薬の分散状態が変わる。噴射剤は溶媒でもあるため、薬が溶けるか懸濁するかが変わります
- 蒸気圧が違う。噴射の速度と粒子の大きさが変わり、肺のどこに届くかに影響します
- 容器と部材が変わる。缶の内面処理、バルブのゴム部品、抽出物・浸出物の評価をやり直します
- 安定性試験をやり直します
さらに、HFA-152a は可燃性がある点が従来品と違います。製造設備では防爆の対応が要り、充填の工程そのものが変わります。
規制の側でも、噴射剤の変更は大きな変更として扱われます。生物学的同等性——同じ量が同じ場所に届くこと——を示す必要があり、変更管理と申請の枠組み(ICH Q12)に沿って進めることになります。既存製品の切り替えに時間がかかるのは、このためです。
なお、申請の時期や審査の進捗の詳細は報道からは分かりません。
※ 本ページは公開情報(Manufacturing Chemist の報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。申請内容・製品仕様の詳細は一次情報および同社の公式発表をご確認ください。