流体接続部品を手がける CPC Biotech(Pump Solutions Group/Dover 傘下)が、シングルユースの無菌コネクタに新しいラインを加えました。既存の「AseptiQuik G」シリーズに、耐熱性・耐薬品性を高めた AseptiQuik G PPSU HT を追加するもので、企業リリース(2026年4月20日)で発表されました。
以下、素材特性・耐性の値はメーカーの公表値(第三者検証ではない自己申告)です。
なぜ「耐性」がテーマになるのか
シングルユースの流路は、いまや上流の培養から下流の精製まで広く使われています。ただ、下流工程には温度も薬液も過酷な場面があります。カラムの洗浄・再生(CIP)では水酸化ナトリウム(NaOH)のような強アルカリを流し、精製の一部工程では DMSO やベンジルアルコールといった有機系の溶媒に触れることもあります。接続部品の素材がこうした条件に耐えられないと、そこが流路全体の弱点になりかねません。今回の製品は、この「素材の守備範囲」を広げにいった位置づけです。
何が変わったか
素材には、BPA フリーの ポリフェニルスルホン(PPSU) を採用しています。公表される主な仕様は次のとおりです。
- 滅菌:ガンマ線滅菌に加え、オートクレーブ滅菌にも対応。耐熱は最大 266°F(130℃)。
- 薬液適合性:pH 2〜12 の範囲、および NaOH・ベンジルアルコール・DMSO への適合をうたう。
- サイズ:ホースバーブは 1/4・3/8・1/2・3/4 インチに加え、3/4 インチのサニタリー継手を用意。
- 識別:金色のタブで、従来のポリカーボネート版(青/白タブ)や標準 PPSU 版(紫タブ)と見分けられる。
想定用途として挙げられているのは、クロマトグラフィー、カラムの保管、ろ過、精製といった下流の場面です。既存の AseptiQuik G と後方互換があり、追加のオペレーター教育は不要としています。
位置づけと留意点
コネクタのような接続部品は地味ですが、シングルユースの流路を「どこまでステンレスの代わりに使えるか」を左右する要素の一つです。素材の選択は、シングルユース vs ステンレスの判断や、溶出物・浸出物(E&L)の評価、無菌接続を含むAnnex 1対応といった論点と地続きになります。
一方で、耐熱・耐薬品の数値はメーカーの公表値であり、実際の適合可否は使用する薬液の濃度・接触時間・温度の組み合わせで変わります。導入時には、自社の工程条件に照らした確認が前提になります。