Annex 1全面適用、無菌製造はCCS中心の設計へ
無菌製造基礎知識・規制

Annex 1全面適用、無菌製造はCCS中心の設計へ

無菌医薬品の製造ルールであるEU GMP Annex 1が、1971年の初版以来はじめての全面改訂を経て2023年8月25日に適用されました。条文が増えたという話ではなく、無菌製造の設計思想そのものを問い直す内容です。改訂はEU・PIC/S・WHOの共同で進められ、FDAも関与しました。日本でPIC/S GMPを参照する事業者にとっても、対岸の火事ではありません。

何が変わったのか

最大の変化は、汚染管理戦略(CCS:Contamination Control Strategy)が文書全体の背骨に据えられたことです。原料・設備・人・環境・工程という汚染のあらゆる経路を一望し、管理策が全体として有効かを継続的に評価する。個々の手順書が揃っているかではなく、「施設全体として汚染をどう抑え込むか」を一枚の絵で説明できることが求められます。

土台にあるのは品質リスクマネジメント(QRM)です。一律の決まりごとではなく、製品とプロセスのリスクに応じて管理の重みを設計する。グレード分類や環境モニタリングの頻度・地点も、このリスク評価の帰結として説明できる必要があります。あわせて、人の介入を減らすアイソレーター・RABSなどのバリアシステムの活用が、より明確に推奨されました。

なぜ現場に効くのか

CCS中心の枠組みは、部署ごと・装置ごとに分かれていた管理を横串で見ることを迫ります。除菌ろ過フィルター選定、除染手順、充填ライン設計、環境モニタリングのデータは、本来ひと続きの汚染リスクの物語であり、別々の書類のままにはできません。

完全性試験の位置づけも重くなりました。使用後に加え、使用前・滅菌後の完全性試験(PUPSIT)の要否はリスク評価で判断し、実施しない場合はその根拠をCCSの中で示すことが期待されます。「やる/やらない」ではなく「なぜそう判断したか」を文書で説明できるかが問われます。

実務でまず効くのは、説明責任の重心が移る点です。手順を守るだけでなく、その手順がリスクに見合う根拠まで遡れるか。査察でもCCSとデータの一貫性が見られ、前提としてGMPの基礎も押さえておくとAnnex 1の位置づけが掴みやすくなります。

※ 本記事は公開情報をもとにした解説です。

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編集メモ:この記事はProglenth編集部が、無菌製造に関する基礎的な情報を、はじめての方にも分かるように整理したものです。実際の製造方法・管理戦略・品質基準は、製品や企業、各国の規制によって異なります。本記事は一般的な解説であり、特定製品の推奨や規制・医療上の助言ではありません。実務で判断される際は、各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報を必ずご確認ください。内容に誤りやご指摘があればお問い合わせからお知らせください。
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