富士フイルム和光純薬は、迅速無菌試験キット「RiboNAT™ Rapid Sterility Test」を2025年9月に発売した。核酸増幅(NAT)法を用い、従来の培地法(薬局方法)が14日間を要する無菌試験を、約7時間で判定できるとする。投与までの時間が限られる細胞治療のように、素早い出荷判定が欠かせない製品での安全性試験を加速することを狙う。
rRNA(リボソームRNA)を標的にする理由
一般的なNAT法が微生物のゲノムDNAを検出するのに対し、RiboNAT™は微生物内に相対的に多く存在するリボソームRNA(rRNA)を標的にする。コピー数の多い分子を狙うことで、微量の菌でも捉えやすく、感度を高められるという考え方だ。加えて、死んだ微生物由来のDNAを不活化剤で失活させ、DNaseで分解することで、生きていない菌に反応してしまう偽陽性を抑える工夫が施されている。無菌試験は「本当に菌がいないか」を短時間で言い切る難しさがつきまとうため、こうした前処理の設計が実務上の信頼性を左右する。迅速法の位置づけや従来法との関係は、無菌試験と迅速微生物法(RMM)の考え方が土台になる。
短寿命の製品にこそ効く
細胞治療のなかには、製造から数日以内に患者へ投与しなければならないものがある。この場合、結果が出るまで14日かかる従来の無菌試験は、そもそも間に合わない。数時間で判定できる迅速法があれば、バイオバーデン管理や工程中の管理と組み合わせて、安全性を担保しつつ出荷までの時間を縮められる。長い有効期間を持つ医薬品でも、製造中の判定を早めることで工程の効率化につながる。細胞治療の広がりが、無菌試験そのものの高速化を強く後押ししている一例といえる。
※ 本ページは公開情報(富士フイルム和光純薬発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。