抗体基礎知識・品質管理

バイオバーデンとは?工程中の微生物数を管理する

工程のある時点で、製品や中間体ゲノムを途中までしか積んでいないAAVカプシド。空でも実でもない中間的な粒子で、測定時にどちらへ数えるかで比率が動く。に生きている微生物が何個いるか——それが バイオバーデン工程中に存在する微生物の量。長時間の連続運転では管理の時間軸がバッチより長くなる。(bioburden) です。最終的に除菌ろ過や滅菌で微生物を除くにしても、その手前でどれだけ菌がいるかは、無菌製造の成否を静かに左右します。バイオバーデン管理は、派手ではないものの、汚染と発熱物質を根元から抑える基礎工事です。

エンドトキシン試験#バイオバーデン#微生物管理#除菌ろ過#エンドトキシン
バイオバーデンとは?工程中の微生物数を管理する
この記事の要点
  • バイオバーデンは滅菌・除菌の前に存在する生菌数で、除菌ろ過の負荷やエンドトキシンの供給源になります。
  • 発生源は原料・環境・人で、上流から低く抑えることが無菌性の土台になります。
  • 測定はメンブレンろ過や平板計数(USP〈61〉〈62〉)で行い、除菌ろ過直前などの要所でアラート・アクション限度に照らして傾向を見張ります。

なぜバイオバーデンを管理するのか

理由は主に二つあります。第一に、⁠除菌ろ過孔径・材質・膜面積などを目的(除菌・清澄化・濃縮など)に合わせて選ぶ、フィルター選定の考え方をまとめたものです。詳しく →や滅菌の「負荷」を決める からです。0.2 µmの除菌フィルタは強力ですが、無限に菌を止められるわけではありません。除菌フィルタの性能は、規定の菌量(一般に膜1平方センチメートルあたり10の7乗個の指標菌)を止めきれるかという「細菌チャレンジ試験微生物を負荷して除菌フィルターが菌を完全に保持できることを確認する性能試験。」で裏づけられます。手前のバイオバーデンが高ければ、フィルタへの挑戦(チャレンジ)が過大になり、突破やろ過性能低下のリスクが上がります。だから「フィルタがあるから大丈夫」ではなく、その前段で菌を低く保つことが前提になります。

第二に、⁠エンドトキシングラム陰性菌の外膜由来の発熱性物質(LPS)で、注射剤では厳しく管理し、LAL試験などで測定します。詳しく →の供給源 だからです。グラム陰性菌外膜をもつ細菌の分類。大腸菌が代表で、比較的壊しやすく外膜にエンドトキシンをもつ。が増えれば、たとえ後で除菌しても、菌が残したエンドトキシンは残ります(除菌ろ過はエンドトキシンを止めません)。バイオバーデンを低く保つことは、発熱物質を根元から減らすことでもあります。

発生源を断つ

バイオバーデンは工程の随所から入り込みます。原料や培地細胞を体外で生存・増殖させるために必要な栄養・エネルギー源・成長因子などを含む液体または固体の環境基盤。成分、製薬用水クリーンルームの環境、そして最大の汚染源である人です。だから管理は「測って落とす」より「入れない・増やさない」が基本になります。原材料の受入時の管理、水システムの清浄維持、環境モニタリング無菌製造区域の空気・表面・作業者を微粒子や微生物で継続監視し、汚染管理の状態を記録する活動。、そして工程をなるべく閉じる(閉鎖系にする)ことが、上流でバイオバーデンを低く保つ王道です。清澄化や中間工程では、時間をかけすぎて菌が増える隙(保持時間)を与えないことも効きます。原薬(バルク最終的な充填・包装を行う前の、大量にまとめられた状態の原薬または製剤中間体。)を長時間保管する場合は、その保持条件でバイオバーデンが増えないことを確かめておく必要があります。

どう測り、どう見張るか

測定は、非無菌品の微生物試験法であるUSP〈61〉(総好気性微生物数・総真菌数の計数)と〈62〉(特定微生物の検出)が基本です。試料をメンブレンでろ過して培地に載せる、あるいは平板に混釈・塗抹して培養し、生えてきたコロニー(CFU培養した際に1つのコロニー(集落)を形成する微生物の単位で、生菌数を表す際に用いられる。)を数えます。細菌は30〜35℃で3〜5日、真菌は20〜25℃で5〜7日といった条件で培養するのが一般的です。

工程管理では、⁠除菌ろ過の直前 など要所で インプロセスのバイオバーデン を測るのが定石です。除菌フィルタに挑む菌量を管理するため、ろ過直前の負荷にあらかじめ アラート限度・アクション限度⁠(例として100 mLあたり10 CFU以下といった水準が用いられる)を定め、実測値を照らして傾向を監視します。限度を超えたり、傾向が悪化したりすれば、原因を調べて手を打ちます。

数える対象が「その時点の生菌数」である点で、バイオバーデンは、菌がゼロであることを示す無菌試験や、発熱物質を測るエンドトキシン試験とは役割が違います。近年は、培養を待たずに素早く結果を出す迅速微生物法(RMM培養時間を大幅に短縮、または培養せずに微生物を検出する手法群の総称。)も普及しつつあります。数字そのものより、「いつもと違う兆し」を早く捉えることが、バイオバーデン管理の実務的な要点です。

どこで測り、超えたらどうするか

サンプリング地点の設計も管理の一部です。除菌ろ過の直前(フィルタへの負荷を代表する)を筆頭に、培養ハーベスト培養液から細胞や破片を取り除いて目的物質を含む上清を回収し、後工程に渡せる清澄な液にする工程です。詳しく →、中間工程の保持後、原薬原薬。精製を終えた有効成分そのもので、製剤化する前の段階を指す。バルク、そして製薬用水や環境が要所になります。試料の採り方・容器・保管が結果を左右するため、採取から測定までの手順もあらかじめ定めておきます。

限度を超えたり、傾向が悪化したときの動きも決めておきます。まず逸脱(規格外試験結果が規格の範囲を外れること。原因調査の対象になる。OOS試験結果が規格の範囲を外れること。原因調査の対象になる。、傾向外=OOT個々の結果は規格内でも、時系列の傾向から外れた変化。じわじわ進む異常の兆候として捉える。)として調査し、生えた菌を同定して、除菌フィルタへの負荷やエンドトキシンへの影響を評価します。原因(原材料、保持時間の延び、設備・水系の汚染など)を突き止め、是正・予防(CAPA問題の原因を除く是正と、再発を防ぐ予防をあわせた品質活動。照査で見つかった事項をつなぐ。)につなげます。アクション限度に達する前に、アラート限度と傾向で ドリフトを早く捉える ことが肝心で、培養を待たずに結果が出る迅速微生物法(RMM)は、この早期対応を後押しします。

まとめ

バイオバーデンは、滅菌・除菌の前に存在する生菌数で、除菌ろ過の負荷とエンドトキシンの供給源を決めます。管理の基本は、原料・水・環境・人という発生源から「入れない・増やさない」こと。測定はUSP米国で医薬品・原料・試験法の公式基準を定める公定書で、製薬用水に関する規格も収載されている。〈61〉〈62〉で行い、除菌ろ過直前などの要所でアラート・アクション限度に照らして傾向を見張ります。目立たない工程ですが、無菌製造と発熱物質管理を根元で支える基礎工事です。

参考文献

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編集メモ:この記事はProglenth編集部が、抗体に関する基礎的な情報を、はじめての方にも分かるように整理したものです。実際の製造方法・管理戦略・品質基準は、製品や企業、各国の規制によって異なります。本記事は一般的な解説であり、特定製品の推奨や規制・医療上の助言ではありません。実務で判断される際は、各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報を必ずご確認ください。内容に誤りやご指摘があればお問い合わせからお知らせください。