抗体医薬基礎知識・分析
バイオバーデンとエンドトキシンの違いとは?測るもの・試験法・意味を整理

まず結論:測っているものが違う
「バイオバーデン」と「エンドトキシングラム陰性菌の外膜由来の発熱性物質(LPS)で、注射剤では厳しく管理し、LAL試験などで測定します。詳しく →」は、どちらも微生物にまつわる管理項目品質に影響しうる要素を、規格や手順で規定し・実行し・記録し・検証する対象として管理するもの。GMPでは原材料から出荷判定まで多岐にわたります。詳しく →ですが、測っている対象がまったく別です。
- バイオバーデン工程中に存在する微生物の量。長時間の連続運転では管理の時間軸がバッチより長くなる。=製品や原材料製造の起点となる原料で、その品質や持ち込む不純物が最終製品の品質に影響しうるため、規格管理が重視される物質。・工程中に存在する生きた微生物の数(生菌数)。
- エンドトキシン=主にグラム陰性菌外膜をもつ細菌の分類。大腸菌が代表で、比較的壊しやすく外膜にエンドトキシンをもつ。の外膜に由来する発熱性物質体内に入ると発熱反応を起こす物質。パイロジェンとも呼び、エンドトキシンが代表格。(LPS)の量。菌そのものではなく、菌が残した「毒素」の量。
この違いが決定的なのは、菌を殺してもエンドトキシンは残るからです。滅菌で生菌数(バイオバーデン)はゼロにできても、死んだ菌の破片から出たエンドトキシンは分解されずに残りうる。だから両者は別々に管理します。
POINT
バイオバーデンは「今どれだけ生きた菌がいるか」、エンドトキシンは「(生死を問わず)どれだけ内毒素があるか」。滅菌はバイオバーデンを下げるが、エンドトキシンは別途の除去・管理(デパイロジェンなど)が要る、というのが要点です。
試験法の違い
測る対象が違うので、試験法も別系統です。
| バイオバーデン | エンドトキシン | |
|---|---|---|
| 測るもの | 生きた微生物の数(CFU培養した際に1つのコロニー(集落)を形成する微生物の単位で、生菌数を表す際に用いられる。) | 内毒素(LPS)の量(EU) |
| 代表的な方法 | 生菌数測定(メンブレンフィルター法検体をろ過して微生物を膜上に捕集し、洗浄後に培地で培養する無菌試験の方法。・混釈法試料を寒天培地に混ぜ込んで培養し、形成されたコロニーを数えることで生菌数を測定する方法。など) | LAL試験(BET製品中のエンドトキシンを検出・定量するバクテリアエンドトキシン試験の総称。:カブトガニ由来試薬)/組換えFC(rFC凝固カスケード最上流のFactor Cだけを組換えで再現した非動物由来試薬。グルカン干渉を受けにくい。) |
| 薬局方国または地域の公的機関が定める医薬品の規格・試験法・品質基準を収載した公定書。 | 微生物限度試験非無菌製品の生菌数や特定微生物の有無を薬局方規定の方法で測定し、規格への適合を確認する試験。 USP米国で医薬品・原料・試験法の公式基準を定める公定書で、製薬用水に関する規格も収載されている。 <61>/<62> 等 | 細菌エンドトキシン試験微生物そのものでなく、グラム陰性菌由来の発熱性物質エンドトキシンの量を測る試験。 USP <85> 等 |
| 結果が出るまで | 培養が必要(通常は日単位) | 比較的速い(時間単位) |
| 何を見ている | 微生物汚染の「量」 | 発熱性物質としての「安全性」 |
バイオバーデンは培養してコロニーを数える発想が基本のため結果に時間がかかり、迅速化のために迅速微生物試験(RMM)が使われる場面もあります。エンドトキシンは、エンドトキシン試験(LAL/BET)で定量し、注射剤では規格に対する適合を確認します。
工程管理での位置づけ
製造では、両者は役割分担して管理されます。
- バイオバーデン:本培養・ろ過前後・無菌ろ過微細な孔のフィルターに液を通し、菌などの微生物を取り除く工程です。加熱できない製品を無菌にする手段で、0.22µm前後の膜が広く使われます。詳しく →の直前などで生菌数を監視し、汚染の兆候を早期に捉えるための指標。無菌医薬品では、無菌ろ過前のバイオバーデンを低く保つことが安全性の前提になります。
- エンドトキシン:製造用水(WFI注射剤などに使う高純度の水(注射用水・精製水)を、蒸留やろ過などでつくる装置です。詳しく →)や原薬原薬。精製を終えた有効成分そのもので、製剤化する前の段階を指す。・製剤製剤。原薬を処方・充填して、最終的な投与形態に仕上げた製品。で、発熱性物質としての安全性を担保するための指標。器材はデパイロジェン器材や製品からエンドトキシンなどの発熱性物質を除去・不活化する処理で、乾熱処理が代表的な方法。(乾熱など)で低減し、工程ではエンドトキシンの除去手段を組み合わせます。
なお、微生物汚染の管理項目にはこのほかにも、細胞培養で問題になるマイコプラズマ試験などがあり、それぞれ「何を・どの試験で・どの工程で」見るかが決まっています。バイオバーデンとエンドトキシンは、その中でも混同されやすい代表格なので、「生きた菌の数か/内毒素の量か」で切り分けて捉えるのが確実です。
まとめ
- バイオバーデン=生きた微生物の数、エンドトキシン=内毒素(LPS)の量。別物。
- 滅菌で生菌数は下がるが、エンドトキシンは残りうるため別管理。
- 試験は、生菌数測定(培養ベース)とLAL/BET(内毒素の定量)で系統が異なる。
- 工程では、汚染の量(バイオバーデン)と発熱性物質の安全性(エンドトキシン)を役割分担で管理する。
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編集メモ:この記事はProglenth編集部が、抗体医薬に関する基礎的な情報を、はじめての方にも分かるように整理したものです。実際の製造方法・管理戦略・品質基準は、製品や企業、各国の規制によって異なります。本記事は一般的な解説であり、特定製品の推奨や規制・医療上の助言ではありません。実務で判断される際は、各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報を必ずご確認ください。内容に誤りやご指摘があればお問い合わせからお知らせください。