Lonza が、米オレゴン州ベンドの拠点に商業規模の噴霧乾燥棟を建てる。据えるのは PSD-4 を2基で、完成は2029年、80人を超える雇用を見込む。同社はこれにより、米国で商業規模の PSD-4 容量を持つ受託先としては最大手になるとしている。
数字としては地味に見えるかもしれません。ただ、ベンドは Lonza が噴霧乾燥で長く積み上げてきた拠点で、そこに商業規模の設備を足すという判断です。対象は低分子だけではなく、バイオ医薬や mRNA も含むとされています。あわせて溶媒の取り扱いと貯蔵の設備を増強し、省エネ型のユーティリティと排出制御も入れるとしています。
なぜ噴霧乾燥に設備を張るのか
新規の低分子は、効くけれども水に溶けない、という分子が増え続けています。そのままでは飲んでも吸収されません。
そこで使われるのが非晶質固体分散体(ASD)で、薬物を結晶にせず、ポリマーの中に分子レベルで散らした状態に固めます。噴霧乾燥は、その ASD を作る代表的な方法です。溶媒に薬物とポリマーを溶かし、霧にして熱風で一気に飛ばす。乾く速さが、できる固体の性質を決めます。
問題は、この工程が規模で性質が変わることです。ノズルの霧化、乾燥塔の中の温度と滞留時間、回収したときの残留溶媒。開発時の小型機と商業機で条件が同じになる保証はありません。だから「臨床から商業まで同じ系列の機械がある」ことに価値が出ます。PSD-4 を2基という書き方は、同じ型で容量だけ増やせるという意味でもあります。
受託先を選ぶ側から見ると
噴霧乾燥は、装置を持っている会社が限られる工程です。自社で持つなら、溶媒を扱う建屋と防爆の設備が要ります。ここが、受託に出す判断が働きやすい理由です。
確認する点は噴霧乾燥に固有ではなく、自社製造か受託かを決めるときの一般論と重なります。開発段階の機械と商業機の連続性、技術移管で条件をどう引き継ぐか、そして枠が空くのはいつか。2029年完成という時期は、いま開発中の品目にとって「間に合うかどうか」の線になります。
なお、投資額は公表されていません。
※ 本ページは公開情報(Manufacturing Chemist の報道および Lonza の発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。設備・時期の詳細は一次情報および各社の公式発表をご確認ください。