試薬・分析材料の MilliporeSigma(Merck KGaA のライフサイエンス事業)が、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)向けとして「初」をうたうバイオベース溶媒のポートフォリオを発売しました。企業リリース(2026年4月21日)によるもので、分析ラボの溶媒を環境負荷の低いものへ置き換える取り組みです。
以下、削減率などの数値はメーカーの公表値(第三者検証ではない自己申告)です。
何が「バイオベース」なのか
対象は、HPLCやLC-MSで日常的に使われるアセトニトリル・メタノール・エタノールの3種です。従来は石油など化石燃料を原料に作られますが、今回の製品は**再生可能原料(renewable feedstocks)**から製造した、という点が違いです。バイオベースのメタノールとアセトニトリルは特許出願中とされています。
分析ラボにとって重要なのは、これが**「ドロップイン代替」**とされている点です。既存のHPLC/LC-MSの手法や装置とそのまま互換で、分析法を作り直さずに置き換えられる、という位置づけです。溶媒を替えると分離やピークが変わってしまう懸念がつきものですが、そこを起こさずに切り替えられることを狙っています。
どれだけ環境負荷が下がるのか
公表値では、ポートフォリオ平均で、従来の化石燃料由来のHPLCグレード溶媒に比べCO2e(二酸化炭素換算)排出が約26%低いとされています。グレード別では、アセトニトリル(グラジエントグレード)で28%、メタノール(グラジエントグレード)で29%、LC-MS用ハイパーグレードのメタノールで29%、エタノールで17.6%の削減としています。
位置づけと留意点
HPLC/LC-MSは、低分子原薬の品質管理をはじめ分析のいたるところで使われ、溶媒はその消耗品の代表格です。性能を保ったまま置き換えられるなら、分析法の移管や既存手法への影響を抑えつつ、ラボ全体の環境負荷を下げられる余地があります。
削減率はメーカーの公表値であり、実際の分離性能や適合性は分析対象・手法・装置によって変わります。規制環境で使う場合は、置き換えにあたって自社の手法での同等性確認が前提になります。