MIT の研究者が、細菌の「トランジスタ」を作り、それらをつなげて計算を行ったり化学的な信号を出したりできる生きた回路を組んだ。ScienceDaily によれば、いずれは植物の根や葉を覆い、環境の脅威を検知して自動的に防御を起動する生物学的なコンピュータになりうる、とされています。
細胞に判断させるという発想
微生物を工業的に使うとき、これまでは外から条件を与えて制御するのが基本でした。温度、pH、基質の供給速度。培養槽の状態を測り、装置側で調整します。
これに対し、細胞の中に回路を組み込む方向があります。細胞が自分の状態を読み、それに応じて振る舞いを変える形です。染色体のコピー数を代謝状態に連動させる試みも、同じ発想にあります。
この方向が効くのは、大きな培養槽ほど中が均一でないからです。スケールアップすると混合に時間がかかり、場所によって細胞が経験する条件が違ってきます。外から一斉に指示を出しても、全部の細胞には届きません。細胞が自分で判断するなら、この不均一さに強くなります。
実装するときに増えること
一方で、回路を組み込んだ株を製造に使うには、別の管理が要ります。
- 遺伝的安定性:回路を壊した変異体は、生産の負荷がない分だけ増殖で有利になりえます。細胞バンクの世代管理と、実生産規模での確認が要ります
- 可観測性:制御が細胞の中で完結すると、外から見える変数が減ります。工程内管理で何を追うかを設計し直すことになります
- 封じ込め:環境で使う用途なら、増殖を制限する仕組みが別に要ります
今回の報告は植物への応用を念頭に置いたもので、医薬品の製造に直結する話ではありません。それでも、細胞に判断を持たせる設計が実際に動くところまで来ていることは、微生物発酵の工程を考えるうえで参考になります。
なお、報道の記載は概要に留まっており、回路の規模や動作条件は本記事の情報に含まれません。
※ 本ページは公開情報(ScienceDaily の報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。研究内容の詳細は一次情報および原著論文をご確認ください。