Porton Advanced Solutions Ltd. は2026年8月5日、中国のNMPA(国家薬品監督管理局)から薬品生産許可証(C類)を取得したと発表した。これにより、細胞・遺伝子治療(CGT)製品の商用受託製造を手がける資格を得たことになる。同社のCDMOサービスは、工程開発と治験薬製造の段階から、商用製造の段階まで伸びる。
発表によれば、同社が扱うのはプラスミド、レンチウイルス、細胞治療、in vivo CAR-T、mRNA、エクソソームなど。品質システムはNMPA・FDA・EMAの要求に整合させて構築しているとし、これまでにNMPA・FDA・ニュージーランドのMedsafeから26件のIND承認取得を支援、うち中国で初めてINDが認められたin vivo CAR-T療法が含まれるとしている(IND申請の成功率100%という記載も同社によるもの)。
「C類」が何を許すのか
中国の薬品生産許可証は、何を製造できるかによって区分が分かれている。今回のC類は、MAH(Marketing Authorization Holder=販売承認取得者)に代わって受託製造を行うための区分だ。
この構造は日本の製造販売業/製造業の関係に似ている。承認を持ち、市場に対して責任を負う主体(MAH)と、実際にモノを作る主体を分けられる制度である。バイオベンチャーが自社工場を持たずに製品を上市できるのは、この仕組みがあるからだ。
裏を返せば、受託側は許可を持っていなければ商用品を作れない。治験薬までは作れても、承認後の製品は別の話になる。CDMOにとってこの許可の有無は、顧客の開発品を最後まで一緒に運べるかどうかを分ける線であり、顧客側から見れば「臨床のどこかで製造委託先を替えなければならないか」という現実的な問題に直結する。
工程を途中で乗り換えることの重さ
細胞・遺伝子治療では、製造委託先の変更は他のモダリティ以上に重い。
- 工程が装置と手技に強く依存する:同じ手順書でも、装置構成や作業者が変われば結果が変わりうる。細胞そのものが製品なので、その差が品質特性に出る。
- 同等性の証明が難しい:低分子や抗体なら分析で詰められる部分が、細胞・遺伝子治療では代替指標に頼らざるを得ない場面が多い。
- バッチ数が稼げない:患者由来の自家製品では、検証のために何十バッチも回すことができない。
つまり、臨床の途中で委託先を替えると、そこまで積んだデータの一部を作り直すことになる。最初から商用まで通せる相手を選ぶことの価値は、この乗り換えコストの大きさから来ている。
中国のCGT製造という文脈
中国はCGT分野で臨床試験の数が急増している地域であり、in vivo CAR-Tのように国外に先行して臨床入りする例も出ている。製造の受け皿がそこに揃うかどうかは、開発のスピードを左右する。
一方で、国外の企業が中国のCDMOを使う場合には、規制のほかにデータの越境やサプライチェーンに関する検討が加わる。品質システムをFDA・EMAの要求にも合わせていると同社が強調しているのは、この点を意識したものと読める。
※ 本ページは公開情報(PR Newswireでの発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。実績値・許可の範囲は同社の発表に基づくもので、詳細は一次情報をご確認ください。