Drug Discovery & Development の報道によれば、CRO/CDMOの Sai Life Sciences は、スケールアップの各段階でより多くの情報を取るという方針をとっている。同記事は、新薬が市場に届くまで長い時間がかかってきた理由を一語で言えば「複雑さ」だとし、疾患の複雑さ、遺伝的な多様性、患者の反応を分ける環境要因などを挙げている。
「情報密度」という言い方が指すもの
スケールアップは、小さい容器で成立した反応や工程を、大きい容器で成立させ直す作業である。単純な比例では動かない。混合、伝熱、物質移動のいずれもスケールで挙動が変わるため、各段階で何が起きているかを掴めていないと、次の段で詰まる。
従来は、各段階で最低限の指標(収率、純度、時間)を取って次へ進むことが多かった。情報密度を上げるとは、そこに次のようなものを足す発想である。
- 反応の進行を時間分解で追う(PATによるインライン計測)
- 不純物のプロファイルを段階ごとに取る
- 熱の出方や混合の状態を実測し、モデルの入力にする
取るデータが増えれば、その段階では余分に見える。効いてくるのは次の段に上がったときである。想定と違う挙動が出たとき、原因を特定できるかどうかが差になる。
「加速」との関係
顧客が求めるのは期間の短縮である。一方で、情報を厚く取ることは各段階の手間を増やす。矛盾するように見えるが、実務では手戻りの回数で効いてくる。
- 情報が薄いまま進む → 商用スケールで問題が出る → 前の段に戻ってやり直す
- 情報を厚く取る → 各段は少し遅い → 手戻りが減り、通算では速い
どちらが速いかは、工程の難しさと、途中で失敗する確率に依存する。複雑な分子ほど後者が有利になるというのが、この方針の前提だと読める。
※ 本ページは公開情報(Drug Discovery & Development の報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。具体的な手法・実績は一次情報をご確認ください。