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クロマト解析ソフト(CDS)

クロマトグラフィーデータシステム(CDS)は、HPLCやUHPLCなどの装置を制御してクロマトグラムを取得し、ピーク積分、定量計算、レポート作成、メソッドと結果の管理までを行うソフトウェアです。QC試験での規格判定や、プロセス精製装置(ÄKTAなど)の運転制御・記録にも使われ、監査証跡や電子署名を含むデータインテグリティ対応が前提になります。

ピーク積分メソッド管理監査証跡装置制御

用途・特徴

CDSは、装置制御からデータ取得、ピーク積分、定量、レポート、メソッド・結果管理までを一つの環境で扱うために使われます。分析担当者はメソッド(移動相、グラジエント、検出波長、積分パラメータ、検量線、システム適合性)を作成し、シーケンスで多検体を連続注入し、得られたクロマトグラムを積分・定量して規格判定とレポートにつなげます。

GMP環境では、誰がいつ何をしたかを残す監査証跡、再積分や手修正の記録、電子署名による承認、ロールベースの権限管理、データの改ざん防止が求められます。これらは21 CFR Part 11やEU Annex 11、ALCOA+の考え方に対応するための機能です。CDSのデータは結果・成績書としてLIMSへ連携され、出荷判定や試験管理に使われます。

Point
  • HPLC/UHPLC/GCなどを制御し、クロマトグラムを取得できる
  • ピーク積分、検量線、定量、システム適合性判定を行える
  • メソッド、シーケンス、プロジェクト、結果を一元管理できる
  • 再積分や手修正を含む操作を監査証跡として残せる
  • 電子署名・権限管理・改ざん防止でデータインテグリティに対応する
  • 21 CFR Part 11、EU Annex 11、GMP/GLPに対応する構成がある
  • ワークステーション型からクライアント/サーバー型・クラウドまで構成できる
  • LIMS、SDMS、ELN、装置データ基盤と連携できる

使用方法

基本的には、装置を接続してメソッドを作り、シーケンスで測定し、ピーク積分・定量・規格判定を行い、レビューと承認を経てレポート・LIMS連携につなげます。

1装置を接続し、CDSから機器制御を設定する
2移動相・グラジエント・検出条件のメソッドを作成する
3検量線・システム適合性・積分パラメータを設定する
4シーケンスを組み、ブランク・標準・試料を連続注入する
5クロマトグラムを取得する
6ピークを積分し、定量・純度・含量を算出する
7システム適合性と規格を判定する
8結果をレビューし、必要に応じて再積分を記録する
9電子署名で承認し、レポート・成績書を出力する
10結果と監査証跡を保管し、LIMSへ連携する
実際の運用は、装置構成、メソッドの複雑さ、GMP/GLP要件、ネットワーク方式、CSV方針、既存のLIMS・SDMS連携、バックアップ・アーカイブ要件によって変わります。

分析用CDS と プロセスクロマト制御ソフトの違いは?

どちらもクロマトグラフィーを扱いますが、対象とする装置と目的が異なります。

結論

分析用CDSは「分析結果を出して判定するソフト」、プロセスクロマト制御ソフトは「精製装置を動かして記録するソフト」と整理するとわかりやすくなります。製品によっては両方の性格をあわせ持つものもあります。

主な対象

HPLC、UHPLC、GCなどの分析装置

ÄKTAなどの精製クロマトグラフィー装置

主な目的

ピーク積分、定量、規格判定、レポート

精製運転の制御、画分回収、工程記録

主な利用部門

QC、分析ラボ、品質管理

プロセス開発、精製、製造

扱うデータ

クロマトグラム、面積、含量、純度

UV、導電率、pH、流量、画分、操作ログ

メソッドの中身

移動相、検出、積分、検量線

ステップ、勾配、洗浄、CIP、画分条件

判定の中心

システム適合性、規格適合

プール判断、回収率、工程内管理

代表的な製品

Empower、Chromeleon、OpenLab、LabSolutions

UNICORN、ChromLab

GMP論点

監査証跡、電子署名、再積分管理

工程記録、データ完全性、レシピ管理

CDSの主な機能

機能内容主な用途
装置制御HPLC、UHPLC、GC、検出器などを制御するデータ取得、シーケンス測定
データ取得クロマトグラム、スペクトル、生データを記録する分析、トレーサビリティ
ピーク積分ベースライン設定、ピーク検出、面積算出を行う定量、純度評価
定量・検量検量線、内標、含量・力価計算を行う規格判定、含量試験
メソッド管理分析条件、積分、検量、規格をバージョン管理するメソッド移管、標準化
システム適合性理論段数、テーリング、RSDなどを判定する試験の妥当性確認
レポート成績書、サマリー、トレンドを出力する結果報告、CoA
監査証跡操作・変更・承認の履歴を残すデータインテグリティ
電子署名・権限承認フローとロール別権限を管理するGMP承認、アクセス制御
連携LIMS、SDMS、ELN、データ基盤と接続する結果連携、データ統合

主なタイプ

タイプ内容向く用途
ワークステーション型CDS1台のPCで装置制御とデータ管理を行う単一装置、開発、小規模ラボ
クライアント/サーバー型CDSサーバーで集中管理し複数装置を統合するQCラボ、GMP、複数装置運用
エンタープライズ/クラウド型CDS拠点横断でデータと権限を一元管理するグローバルQC、複数拠点
プロセスクロマト制御ソフト精製装置の運転制御・画分・工程記録を行うプロセス開発、精製、製造
GMP/Part 11対応構成監査証跡、電子署名、権限を備える構成出荷試験、規制対応
マルチベンダー対応CDS他社装置のドライバで横断制御する混在装置環境の標準化

データインテグリティで重要なポイント

項目内容
監査証跡誰が、いつ、何を取得・変更・承認したかを残す
再積分の記録手動再積分やパラメータ変更を理由つきで残す
電子署名結果・メソッド・レポートの承認を電子的に行う
権限管理ロール別に閲覧・処理・承認・設定変更を制限する
生データ保管クロマトグラムや生データを改ざん不能に保存する
ALCOA+正確で帰属可能・判読可能・同時記録のデータを残す
21 CFR Part 11電子記録・電子署名の米国規制に対応する
EU Annex 11コンピュータ化システムのEU GMPに対応する
バックアップ・アーカイブ保管、復旧、長期保存、移行を設計する
CSVコンピュータ化システムバリデーションを実施する

選定ポイント

用途QC分析、研究、プロセス精製制御のどれが中心か
対応装置自社のHPLC、UHPLC、GC、検出器を制御できるか
マルチベンダー他社装置を共通インターフェースで制御できるか
積分・定量再積分、検量、純度、システム適合性に対応するか
メソッド管理メソッドのバージョン管理・移管・標準化ができるか
監査証跡操作・変更・承認・再積分を完全に追跡できるか
電子署名・権限承認フローとロール別権限を設定できるか
21 CFR Part 11 / Annex 11電子記録・電子署名要件に対応する構成があるか
システム構成ワークステーション、サーバー、クラウドのどれが合うか
LIMS連携結果、規格判定、成績書をLIMSへ連携できるか
SDMS・データ基盤生データの統合・標準化基盤と連携できるか
CSV・バリデーションIQ/OQ/PQ、テスト記録、ベンダー支援があるか
移行・互換性既存メソッドや旧CDSデータを移行できるか
運用負荷ユーザー管理、バックアップ、保守、更新の負荷

使用される工程

CDSは、QC試験から工程内管理、プロセス精製の制御まで、クロマトグラフィーデータが発生する工程で広く使われます。

QC分析(含量・純度)

標準と試料を測定し、ピーク積分で含量・純度を算出して規格判定する。

主な用途
  • ピーク積分
  • 規格判定

システム適合性試験

理論段数、テーリング、繰返し精度を確認し、試験の妥当性を判断する。

主な用途
  • SST
  • 妥当性確認

メソッド管理・移管

分析メソッドをバージョン管理し、拠点間・装置間で移管・標準化する。

主な用途
  • バージョン管理
  • メソッド移管

工程内管理(IPC)

培養・精製の工程サンプルを分析し、結果を工程判断へつなげる。

主な用途
  • 工程サンプル
  • 工程判断

プロセス精製の制御・記録

ÄKTAなどの精製装置を運転制御し、UV・導電率・画分・操作を記録する。

主な用途
  • 運転制御
  • 画分・工程記録

安定性試験のトレンド

保存条件・タイムポイントごとの結果を比較し、トレンドを評価する。

主な用途
  • トレンド評価
  • 経時比較

レビュー・承認

再積分や手修正を確認し、電子署名で結果・レポートを承認する。

主な用途
  • レビュー
  • 電子署名

データインテグリティ対応

監査証跡、権限、生データ保管を整え、Part 11・GMP要件に対応する。

主な用途
  • 監査証跡
  • Part 11対応

使用されるモダリティー

CDSは、クロマトグラフィー分析や精製を行う幅広いモダリティーで、品質試験・工程内管理・精製制御に使われます。

抗体医薬
関連度
Protein ASECCEX含量・純度
凝集体、電荷異性体、含量などのHPLC試験とProtein A精製制御に使われる。
二重特異性抗体
関連度
純度副生成物工程サンプル
ミスペア・副生成物の分離評価や工程内管理の分析に使われる。
ADC
関連度中〜高
DAR遊離薬物純度
DAR分布や遊離薬物などADC特有の分析・データ管理に使われる。
Fc融合・組換えタンパク質
関連度
精製制御純度含量
精製クロマト制御と純度・含量試験の両面で使われる。
核酸・オリゴ
関連度
IEX/HILIC純度不純物
オリゴ核酸の純度・不純物分析や精製の評価に使われる。
低分子
関連度中〜高
含量類縁物質溶出
原薬・製剤の含量、類縁物質、溶出試験など定番のHPLC分析に使われる。

メーカー製品

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