疎水性相互作用・混合モード

ミックスモードレジン(マルチモーダル)

ミックスモード(マルチモーダル)レジンは、イオン交換と疎水性相互作用など複数の保持機構を1本のリガンドに組み合わせたクロマトグラフィー担体です。単一モードのIEX/HICでは分けにくい凝集体(HMW)、宿主細胞由来タンパク質(HCP)、浸出Protein Aなどに対し、別軸の選択性で精製を進められます。塩濃度耐性をもつものが多く、希釈・脱塩なしで直接負荷できる場面があるのも特徴です。

マルチモーダル凝集体除去塩濃度耐性ポリッシュ
分類
疎水性相互作用・混合モード
主な用途
マルチモーダル / 凝集体除去 / 塩濃度耐性 / ポリッシュ
関連モダリティ
抗体医薬 / 二重特異性抗体 / Fc融合・組換えタンパク質 / ADC / ワクチン / AAV
代表メーカー
Cytiva・Tosoh Bioscience・Merck(MilliporeSigma)・Bio-Rad ほか計6社
関連キーワード
マルチモーダルクロマトグラフィー / 凝集体除去(HMW) / 浸出Protein A / HCP低減 / 塩濃度耐性レジン / フロースルー精製

用途・特徴

ミックスモードレジンのリガンドは、荷電基(カチオン交換またはアニオン交換)と疎水基、ときに水素結合・π-π相互作用などを同一分子内に持ちます。これにより、保持はpHとイオン強度の両方に依存し、単一モード担体とは異なる選択性が得られます。代表的にはカチオン交換+疎水のCEX-HIC型、アニオン交換+疎水のAEX型があり、抗体精製ではProtein A後のポリッシュ(中間〜最終精製)で凝集体やHCP、浸出Protein A、DNAの低減に使われます。

結合・溶出の設計自由度が広い一方、最適化すべきパラメータ(pH、伝導度、塩種、添加剤)が多く、方法開発に手間がかかります。塩濃度耐性のあるCEX-HIC型は高伝導度フィードに直接負荷でき、溶出は塩濃度勾配やpH勾配で行います。アニオン交換型のCapto adhereなどは、抗体を素通り(フロースルー)させながら酸性不純物・凝集体を捕捉する使い方が一般的です。

フロースルー専用設計として、ビーズ表面を不活性シェル、内部を多機能コアにした「コア充填」型レジン(Capto Core 400/700 など)があります。一定分子量カットオフ(例: 約700 kDa)より大きい目的物(ウイルス粒子・大型タンパク質集合体)は素通りし、小さい不純物だけが内部コアで多機能的に捕捉される、サイズ排除と多機能吸着を組み合わせた挙動を示します。

Point
  • イオン交換+疎水など複数の保持機構を1本のリガンドに統合し、別軸の選択性を得る
  • 塩濃度耐性(高伝導度フィードへの直接負荷)が得られる製品が多い
  • 凝集体(HMW/LMW)、HCP、浸出Protein A、DNAなど難分離不純物の低減に有効
  • 保持がpHと伝導度の双方に依存し、結合・溶出の設計自由度が広い
  • 最適化パラメータが多く、方法開発・ロバストネス確認に手間がかかる
  • アルカリ耐性が高くNaOHによるCIPに対応する担体が多い(再現性・洗浄性で有利)
  • コア充填型はフロースルーでサイズ排除+多機能吸着を両立(ウイルス・大型分子向け)
  • 用途はProtein A後のポリッシュが中心だが、塩耐性型は捕捉工程にも使われる

使用方法

ミックスモードは保持がpH・伝導度の双方に依存するため、結合条件と溶出条件をスクリーニングで決めるのが基本です。下記は抗体ポリッシュ(バインド/エルート)を想定した一般的な流れです。

1前工程プール(Protein A後等)の凝集体・HCP・伝導度を把握する
2結合pH・伝導度・塩種をスクリーニングで設計する
3カラム充填・平衡化(NaOHによるCIPで前処理)
4試料を負荷する(塩耐性型は希釈・脱塩なしで負荷可)
5洗浄で弱保持不純物を除去する
6塩濃度勾配またはpH勾配で目的物を溶出する
7溶出画分の凝集体・HCP・浸出Protein Aを分析する
8プール基準(純度・収率)でフラクションを設定する
9NaOHでCIP・再生し、サイクル間の性能を確認する
10DBC・ロバストネス・寿命を評価して条件を確定する
最適条件は分子種、前工程プールの組成、伝導度、目的とする不純物(HMW/HCP/浸出Protein A)によって変わります。塩種や添加剤(アルギニン等)で選択性が動くため、実フィードでのスクリーニングが前提になります。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)