「GalNAc(N-アセチルガラクトサミン)」とは?
肝細胞の受容体ASGPRが認識する糖。siRNAに付けると皮下投与で肝臓へ選択的に届く。
肝細胞の受容体ASGPRが認識する糖。siRNAに付けると皮下投与で肝臓へ選択的に届く。
GalNAcは肝細胞表面に高発現するアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)が認識する糖で、siRNAやASOに付加することで皮下投与でも肝臓へ選択的に集積させられます。この仕組みがなければ核酸医薬は全身に広がってしまうため、肝標的の効率と安全性を両立するうえで欠かせない技術です。
核酸医薬をそのまま皮下や静脈に投与しても、肝臓だけに集まるわけではありません。GalNAcコンジュゲートが突破口になったのは、肝細胞表面にASGPRが高発現しているという生物学的な特性を利用できたからです。ASGPRがGalNAcを認識して取り込むため、siRNAやASOをGalNAcと結合させるだけで、皮下投与という比較的簡便な経路でも肝細胞への選択的な集積が大きく高まります。この選択性こそが、肝臓を標的とする疾患との高い相性を生み出しています。
GalNAc修飾を施した肝標的siRNAでは、単回皮下投与を行っても標的タンパク質はすぐに下がるわけではなく、徐々に低下して効果が定常に近づくまで数週かかることが報告されています。これは投薬スケジュールの設計や臨床試験での評価時点を考えるうえで重要な特性です。効果の発現が緩やかである点を前提に、どのタイミングで有効性を判断するかを計画に織り込む必要があります。
GalNAcによる肝標的の仕組みは、siRNA単独ではなくASO(アンチセンスオリゴ核酸)にも適用できます。GalNAcを結合したsiRNAおよびASOはいずれも肝細胞へ選択的に取り込まれ、皮下投与での成立を後押しします。モダリティをまたいで同じ送達戦略が使えることは、肝疾患を対象とする核酸医薬の開発において設計の選択肢を広げることにつながります。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。