バイオ製造向けエンジニアリングソリューションを手がけるABECは、細胞・遺伝子治療(ATMP)向けの閉鎖型シングルユース培養プラットフォーム「Advanced Therapy Bioreactor(ATB™)」を提供しています。公式情報によると、本プラットフォームは2025年3月に発表され、R&Dから商用製造までを一つの設計思想でカバーする上流(培養)装置として位置づけられています。従来の撹拌・通気を前提とした培養装置とは異なるアプローチを採る点が特徴です。
どんな装置か
ATB™は、灌流(パーフュージョン)駆動のプロセスを前提とした、閉鎖型・自動化のシングルユース培養プラットフォームです。公式情報では作動容量レンジが 0.2L〜10L とされ、R&D段階から臨床・商用製造まで同一プラットフォームで対応できると説明されています。
中空糸膜(hollow fiber membrane)のネットワークを用い、栄養供給と老廃物除去を局所的に行う構造が採られています。従来の気泡(バブル)や機械撹拌に依存する装置とは異なり、振動(oscillation)ベースのミキシングと、ガス・栄養/老廃物の拡散(diffusion)ベースの物質交換によって、感受性の高い細胞に適した培養環境を維持することを狙っています。
スケール間の一貫性と適用細胞
公式情報では、0.2L〜10Lの全スケールにわたって中空糸膜の表面積と培養容積の比を一定に保つ設計により、開発初期から臨床・商用製造まで一貫した培養条件を再現できるとされています。これは、スケールアップ/スケールダウンに伴う培養環境の変化を抑えることを意図したものです。
適用細胞としては、初代T細胞やCD34+幹細胞といった細胞・遺伝子治療で扱われる細胞種に加え、HEK293やCHO細胞でも高い細胞密度と生存率が確認されたと説明されています。閉鎖系・自動化のワークフローにより、コンタミネーションリスクとオペレーター由来のばらつきを抑え、手作業による介入を減らすことも訴求点です。
位置づけ
細胞・遺伝子治療の製造では、撹拌・通気型のスケールアップ培養装置がせん断や気泡ストレスに弱い細胞に適さない場面があり、上流(培養)工程の標準化・スケーラビリティが課題となってきました。ATB™は、中空糸膜による拡散ベースの物質交換と振動式ミキシングという非撹拌型のアプローチで、感受性の高い細胞を閉鎖系のまま小スケールから商用スケールまで一貫して培養することを狙う装置です。撹拌槽型のシングルユースバイオリアクターとは異なる選択肢として、ATMP製造の上流を担う位置づけにあります。
※ 本ページはメーカー公式情報をもとにした紹介です。仕様・性能・適用範囲の詳細は公式情報をご確認ください。