分析機器を手がける Bio-Techne と、質量光度計の Refeyn が、電荷と分子量・凝集を1つの流れで結びつける統合ワークフローを発表しました。GENの報道によると2026年6月に公表されたもので、二重特異性抗体やバイオシミラーのように構造が複雑な分子の特性解析を狙ったものとされています。
以下、製品名を挙げての性能・仕様は各メーカーの公表値(第三者検証ではない自己申告)です。
何を組み合わせたのか
組み合わせるのは、Bio-Techne(R&D Systems)の MauriceFlex と、Refeyn の TwoMP の2台です。MauriceFlex は、タンパク質を等電点の違いで分離するイメージドキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)に、分離した画分を分取(フラクション化)する機能を持たせた装置です。TwoMP は、1分子ずつの質量を光の散乱から測る質量光度計(mass photometry)で、分子量とその分布、会合状態(凝集)を少量の試料から読み取ります。
従来、電荷の不均一性(酸性・塩基性バリアント)とサイズ・凝集は、別々の分析法で別々に測るのが一般的でした。今回のワークフローは、MauriceFlex で電荷ごとに分けた画分をそのまま TwoMP にかけることで、「どの電荷種が、どの分子量・会合状態に対応するか」を直接ひもづけて見られる点に特徴があります。
電荷とサイズを「別々」から「相関」へ
公式・報道情報によると、この統合ワークフローは、ナノグラム量の試料から約4時間で、単分子分解能でサイズ分布と凝集を評価できるとされています。電荷ヘテロジェニティと分子量・凝集を同じ土俵で相関づけられれば、たとえば特定の電荷バリアントが凝集しやすいのか、といった問いに一続きのデータで答えやすくなります。
二重特異性抗体は、由来の異なる鎖を組み合わせるため、目的分子とよく似た副産物(ミスペア)が混ざりやすく、電荷・サイズの両面で不均一になりがちです。バイオシミラーでも、先行品との同等性を電荷・サイズの両軸で示す必要があります。こうした分子で、両者を切り離さずに評価できることが、開発の意思決定を早める狙いだと説明されています。
位置づけと留意点
電荷バリアントの評価は CEX-HPLC や icIEF が、凝集・サイズの評価は SEC や質量光度計などが担うのが一般的で、それぞれの原理と守備範囲は電荷異性体や凝集体の分析法の側から見ると整理しやすくなります。今回のワークフローは、この2軸を分取でつなぐ点が新しく、既存の各分析を置き換えるものではありません。性能値はメーカーの公表値であり、実際の分解能や適用範囲は分子や条件に依存します。