CordenPharma が、イタリア・カポナーゴ(ミラノ近郊)の無菌充填拠点に、複数年で総額8,000万ユーロを投じる。2026年9月10日に発表した。FDA と EMA の承認を受けている拠点で、増強後の生産能力は年間5億本の無菌注射剤に達するとしている。
投資を後押ししているのは、株主のプライベートエクイティ Astorg です。CordenPharma Group プレジデント兼CEO の Michael Quirmbach 氏は「株主である Astorg の支援が、カポナーゴでの無菌注射剤製造を前に進める我々の姿勢を裏づけている」とコメントし、「複雑なモダリティの製剤製造における優位性を強め、注射剤の外部委託需要の高まりに応える供給体制を整える」と続けました。受託先を探す側から見れば、枠を確保できる会社が1社増えるという話です。
すでに動いているのは、既存エリアへのアイソレーター式の充填ライン2本の追加です。うち1本は Syntegon の高速プレフィルドシリンジ(PFS)・カートリッジ用ラインで、1日50万本超を充填できるとしています。もう1本は VarioSys(Bausch+Ströbel)のラインで、臨床試験から小規模の商業生産までを対象に、バイアル(液剤・凍結乾燥)と PFS/カートリッジに対応します。
用地も広げます。2026年7月28日に1,300万ユーロで、隣接する11,000m² の商業ビルと 26,000m² の土地の取得を完了しました。これで拠点の面積は5割以上広がります。新しい建屋には無菌充填ラインを最低4本、外観検査ラインを4本、包装ラインを4本置けるとしており、顧客所有のライン、大規模な凍結乾燥、オートインジェクターの組み立ても選択肢に挙がっています。
なぜラインを規模で分けるのか
2本のラインが狙う規模は、はっきり違います。片方は量産、もう片方は臨床から小規模の商業までです。
分ける理由は、同じラインで臨床と商業を回すと、どちらも待たされるからです。臨床は少量・多品目で切り替えが多く、商業は同じものを長く流します。必要な段取りが逆になります。規模の違うラインを2本持てば、切替と交叉汚染の管理も、それぞれの前提で設計できます。開発の初期から商業まで同じ受託先で通したい顧客にとっては、ここが選定の理由になります。
無菌充填の枠が足りない
年5億本という数字が出てくる背景には、無菌充填の能力不足があります。抗体医薬に加えて GLP-1 系の注射剤やオートインジェクター製品が枠を押さえ、後から入る品目が待たされている状態です。
ただし、充填が詰まる原因は装置の台数だけではありません。
- アイソレーターとRABSの選択で、除染や切替にかかる時間が変わる
- EU GMP Annex 1 の要求が、設備と運用の両方に効く
- 外観検査とオートインジェクターの組み立てまで含めて、はじめて出荷できる
新しい建屋の計画に、充填ラインと同じ数だけ外観検査ラインと包装ラインが並んでいるのは、このためです。充填だけ増やしても後ろで詰まります。自社製造か受託かを決めるときも、充填の能力だけでなく、その後ろまで見る必要があります。
なお、2本のラインがいつ稼働するかについては、資料によって記載に幅があります。導入済みの分がいつから商業生産に使えるかは、発表からは確定できません。
※ 本ページは公開情報(CordenPharma の発表、PR Newswire 配信)をもとにしたProglenth編集部による整理です。発言は発表資料の英文を編集部が訳したものです。設備・稼働時期の詳細は一次情報および各社の公式発表をご確認ください。