マルチパラメータフローサイトメトリー(multiparametric flow cytometry、MFC)による測定可能残存病変(measurable residual disease、MRD)の結果が、患者の予後をどれだけ予測できるかに大きなばらつきがある、と報告されました。Bioanalysis Zone によれば、Fralin Biomedical Research Institute(米バージニア州)の研究チームによるもので、Haematologica に掲載されています。
MFC は蛍光標識した抗体と色素で細胞表面や細胞質のタンパク質を測る方法で、寛解中の患者に残るわずかな腫瘍細胞を、健常細胞1,000個に1個の水準で見つけられるとされています。
同じ「陰性」が、同じ意味とは限らない
MRD 陰性という結果は、治療方針を左右します。だからこそ、その陰性がどれだけ確からしいかが問題になります。
MFC は測る側の設計自由度が大きい方法です。どの抗体の組み合わせを使うか、何細胞を取得するか、ゲートをどこに引くか。これらが施設ごとに違えば、検出下限も、陰性の意味も揃いません。予測力のばらつきは、疾患の性質ではなく測り方の差から来ている可能性があります。
細胞治療の力価評価にも重なる話
この構造は、腫瘍の残存を測る場面に限りません。
- 細胞治療の力価でもフローサイトメトリーは主要な手法で、ゲートの引き方が結果を動かします
- CAR-Tの製造工程では、形質導入効率や表現型の確認に使われます
- 施設をまたいで比べるなら、分析法の移管で同等性を示す枠組みが要ります
測定の標準化が追いつかないまま結果だけが判断に使われる、という形は、新しい分析法が臨床に入るときに繰り返し現れます。
なお、対象とした施設数と疾患の内訳は、報道からは分かりません。
※ 本ページは公開情報(Bioanalysis Zone の報道および Haematologica 掲載論文の紹介)をもとにしたProglenth編集部による整理です。研究の詳細は一次情報をご確認ください。