自己免疫疾患を対象とする CAR-T 療法の臨床試験が、2社で相次いで止まった。BioPharma Dive によれば、ノバルティスは試験参加者3例の死亡を受けて rap-cel の開発を複数の適応で中止し、Bristol Myers Squibb は「一過性」とされる副作用を理由に zola-cel の組み入れを自主的に停止した。Manufacturing Chemist は、ノバルティスが止めた試験は8件と伝えている。
がん以外に広げると、許される副作用の幅が変わる
CAR-T は、ほかに手のない血液がんの治療として立ち上がりました。製造が複雑で高価でも、サイトカイン放出症候群のような重い副反応があっても、病気の予後を考えれば釣り合っていたわけです。
自己免疫疾患ではこの釣り合いが変わります。既存の免疫抑制薬で生活できている患者が多く、同じ有害事象でも重みが違います。対象人数も増えるため、まれな事象が表に出やすくなります。技術が変わらなくても、使う場所が変われば求められる安全性の水準が変わるということです。
原因を切り分けにくいのが自家製品
こうした事象が起きたとき、製造側で難しいのは原因の切り分けです。自家CAR-Tはロットごとに患者が違うため、ロット間の比較がそもそも成り立ちにくい構造にあります。
- 出発材料の状態が患者ごとに違います。自己免疫疾患の患者は免疫抑制薬を使っていることが多く、採取した細胞の性質も変わりえます
- 力価や重要品質特性として何を測っていれば予見できたのか、が後から問われます
- 遺伝子を入れた細胞は体内に残るため、長期の追跡が製品の一部になります
自己免疫領域は CAR-T の数量が伸びると見込まれてきた領域です。ここが減速すると、自家か他家か、体内で作る方式に寄せるか、といった製造側の判断にも影響します。
なお、有害事象の内容や今後の対応は報道からは分かりません。
※ 本ページは公開情報(BioPharma Dive・Manufacturing Chemist の報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。試験の状況・有害事象の詳細は一次情報および各社の公式発表をご確認ください。