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NIR/FTIRモニタリング

NIR/FTIRモニタリングは、近赤外分光法またはフーリエ変換赤外分光法を用いて、原料、培地、反応液、培養液、工程液、製剤液などの成分や状態を非破壊または低侵襲で確認するモニタリング技術です。NIRは近赤外領域の光吸収を、FTIRは赤外吸収から官能基や化学構造の情報を取得し、バイオプロセスではPATの一部として使われます。

PAT原料・培地確認下流・製剤フロー合成

用途・特徴

NIR/FTIRモニタリングは、工程中の化学成分や物理状態をリアルタイムまたは迅速に把握するために使われます。NIRは、水分、糖、タンパク質、脂質、粉末原料、培地、製剤成分などの非破壊分析に向いています。粉末培地、原料受入、培地調製、バッファー、タンパク質濃度、乾燥状態、混合均一性の確認にも使われます。

FTIRは、官能基や分子構造に由来する吸収を測定するため、反応モニタリングや液体中の成分変化を追う用途に向いています。低分子合成、フロー合成、酵素反応、バイオプロセス下流工程、製剤処方検討などで使われます。細胞培養のリアルタイムモニタリングでは、ラマン分光と同様に、グルコースや乳酸などの培地成分をモデル推定する用途があります。

Point
  • NIRは近赤外吸収、FTIRは赤外吸収を使う分光モニタリング技術
  • 原料確認、培地調製、細胞培養、下流精製、製剤化、フロー合成で使われる
  • NIRは粉体・原料・水分・タンパク質・混合状態に強い
  • FTIRは反応進行、官能基、液体成分変化の追跡に強い
  • PAT、QbD、リアルタイムモニタリングに関係する
  • 定量にはケモメトリクスモデルと参照分析値が必要になる
  • ラマン分光、自動サンプリング、バイオプロセス分析計と使い分ける

使用方法

基本的には、NIRまたはFTIRのプローブ、フローセル、測定窓を工程に接続し、スペクトルを取得します。定量用途では、取得したスペクトルと参照分析値を対応づけてモデルを作ります。

1測定したい工程・成分を決める
2NIRまたはFTIRの方式を選ぶ
3プローブ・フローセル・測定窓・オフライン測定の構成を決める
4工程液や原料からスペクトルを取得する
5HPLC・BioProfile・Cedex・UV・LC-MS等の参照分析値を取得する
6スペクトルと参照値を対応づける
7PLS回帰やPCAなどで予測モデルを作る
8モデル精度を検証する
9工程モニタリングや制御へ活用する
10GMP用途ではモデル変更管理やデータ記録を行う
実際の運用は、測定対象、サンプル状態、水分量、濁度、温度、流路、プローブ材質、スペクトル品質、モデル管理、GMP要件によって変わります。

バイオプロセス分析計との違い

バイオプロセス分析計は、サンプルを採取してグルコース、乳酸、ガス、浸透圧などを測定します。NIR/FTIRはスペクトルから成分や状態を推定します。

結論

NIR/FTIRは、直接測定装置というより、工程を光で見てモデル化する技術として扱うと理解しやすくなります。

測定方法

サンプルを採取して直接測定

光を当ててスペクトルを取得

測定方式

オフライン、アットライン

オフライン、アットライン、オンライン、インライン

主な値

グルコース、乳酸、pH、浸透圧など

モデル化した成分、品質、反応進行

リアルタイム性

サンプリング頻度に依存

高頻度・連続測定が可能

モデル構築

不要な項目が多い

多変量解析モデルが必要

強み

直接値として扱いやすい

非破壊・多成分・高速測定

注意点

試薬、サンプリング、測定時間

モデル検証、スペクトル品質、外れ値管理

NIRとFTIRの違い

項目NIRFTIR
波長領域近赤外領域中赤外領域が中心
主な情報O-H、C-H、N-H結合の倍音・結合音官能基や分子振動の基本吸収
水の影響あるが工程測定に使いやすい場合が多い水の吸収が強く影響しやすい
得意な対象粉体、原料、水分、タンパク質、混合状態反応進行、官能基、液体成分、化学変化
バイオプロセス用途原料確認、培地、製剤、下流工程反応、下流、製剤、フロー合成
測定方法透過、反射、ファイバー、プローブATR、透過、フローセル、プローブ
モデル多変量解析が重要スペクトル解釈とモデルの両方が重要
注意点散乱、粒径、水分、温度水吸収、プローブ汚れ、ATR接触状態

ラマン分光との違い

項目ラマン分光NIR / FTIR
原理ラマン散乱近赤外吸収 / 赤外吸収
水の影響比較的受けにくい中程度 / 強い
細胞培養液グルコース、乳酸、細胞密度推定で使われる用途によって可能 / ATRやフローセルで検討される
原料確認可能得意 / 得意
粉体・混合可能得意 / 用途による
反応モニタリング可能可能 / 得意
フロー合成可能可能 / 得意
モデル依存高い高い / 中〜高
注意点蛍光、気泡、プローブ汚れ散乱、粒径、水分、温度 / 水、ATR接触、流路設計

NIR/FTIRモデルとは?

項目内容
スペクトル原料や工程液から取得される吸収スペクトル
教師データHPLC、LC-MS、BioProfile、UV、重量法などの参照分析値
モデルスペクトルから濃度や品質指標を推定する計算式
代表的手法PLS回帰、PCA、SIMCA、機械学習、ケモメトリクス
検証予測値と実測値のずれ、外れ値、ロット間再現性を見る
モデル移管装置間、スケール間、施設間でモデルが使えるか確認する
GMP運用モデル変更管理、バリデーション、監査証跡が重要

NIR/FTIRで見られる主な対象

対象内容主な用途
粉末原料原料同定、水分、混合均一性原料受入、培地調製、粉体管理
粉末培地組成確認、水分、混合状態培地調製、原料品質確認
培地・フィード糖、アミノ酸、水分、濃度推定培地調製、フィード調製
培養液グルコース、乳酸、バイオマスなど本培養モニタリング
タンパク質濃度UVやHPLC参照値とモデル化下流精製、濃縮工程
バッファーpH、導電率、濃度と組み合わせて確認精製、UF/DF、製剤
反応液原料消費、中間体生成、反応終点低分子合成、酵素反応、フロー合成
製剤液タンパク質、賦形剤、濃度、均一性製剤開発、充填前確認
晶析結晶化進行、母液成分低分子、原薬、製剤
乾燥状態水分、残留溶媒凍結乾燥、粉体工程

主なタイプ

タイプ内容向く用途
インラインNIRプローブや測定窓を工程に直接設置する原料、粉体、流体、製造ライン
オンラインNIRバイパスラインやフローセルで測定する培地、バッファー、製剤液
オフラインNIR採取サンプルを装置で測定する原料確認、QC、モデル構築
インラインFTIRATRプローブやフローセルで工程液を測定する反応モニタリング、フロー合成
オンラインFTIRバイパスラインや流路で測定する反応液、工程液、下流工程
ATR-FTIRATR結晶に接触したサンプルを測定する液体、反応、製剤、培養上清
FT-NIRプロセス分析計複数測定点をファイバーで接続する製造ライン、多点測定
卓上FTIR/NIR開発・QC向けのオフライン測定原料確認、モデル構築
自動化連携型ロボットや自動サンプリングと接続する高スループット、PAT、DoE

選定ポイント

測定対象粉体、培地、培養液、反応液、バッファー、製剤液のどれか
測定方式NIRかFTIRか、インラインかオフラインか
水の影響水系サンプルで十分なスペクトル情報が得られるか
プローブATR、透過、反射、拡散反射、フローセルのどれか
工程適合性バイオリアクター、配管、フローセル、粉体ラインに接続できるか
サンプル状態濁度、気泡、粘度、粒径、温度、沈殿の影響
モデル構築PLS、PCA、SIMCAなどの多変量解析に対応するか
教師データHPLC、BioProfile、LC-MS、UVなどの参照値を用意できるか
自動化連携SCADA、MES、LIMS、フィード制御、PLCと接続できるか
GMP対応IQ/OQ、CSV、21 CFR Part 11、電子記録、監査証跡
モデル管理モデル変更、再検証、スケール移管、外れ値管理ができるか
保守光源、検出器、プローブ、ファイバー、校正標準、サービス体制
導入負荷装置費用、モデル開発、解析人材、バリデーション負荷

使用される工程

NIR/FTIRモニタリングは、原料確認から培養、下流、製剤、フロー合成まで幅広い工程で使われます。

原料受入

粉末原料、培地原料、賦形剤の確認に使われる。

主な用途
  • 原料同定
  • 水分確認

培地・フィード調製

粉末培地の溶解、混合、水分、濃度確認や濃縮フィードの均一性確認に使われる。

主な用途
  • 混合均一性
  • 濃度確認

シードトレイン

培地状態や小型培養条件の確認に使われる場合がある。

主な用途
  • 培地状態

本培養・フェッドバッチ

培養液成分や代謝物をモデル推定し、栄養消費やフィード制御の補助に使われる。

主な用途
  • 代謝物推定
  • フィード制御

灌流培養

連続工程で成分変化をモニタリングする。

主な用途
  • 連続モニタリング

ハーベスト・清澄化

工程液の濁度や成分変化確認に関係する。

主な用途
  • 濁度
  • 成分変化

下流精製

Protein A溶出ピーク、タンパク質濃度、バッファー状態、UF/DFの濃縮状態確認に使われる場合がある。

主な用途
  • 溶出ピーク
  • 濃縮確認

製剤化

製剤液、賦形剤、タンパク質濃度、均一性確認に使われる。

主な用途
  • 濃度
  • 均一性

フロー合成・低分子原薬

原料消費、中間体生成、反応終点、晶析、乾燥、粉体工程のリアルタイム確認に使われる。

主な用途
  • 反応終点
  • 晶析・乾燥

PAT/QbD

工程理解、リアルタイム制御、品質設計に使われる。

主な用途
  • 工程理解
  • 品質設計

使用されるモダリティー

NIR/FTIRモニタリングは、抗体医薬から低分子医薬品まで幅広いモダリティーの工程で使われます。

抗体医薬
関連度
培地調製本培養下流製剤
培地・培養液・タンパク質濃度・製剤液確認に使われる。
ADC
関連度
抗体原薬リンカー/薬物製剤
抗体部分と化学反応部分の両方で関係する。
二重特異性抗体
関連度
CHO培養精製製剤
抗体医薬と同様に工程モニタリングで使われる。
Fc融合タンパク質・組換えタンパク質
関連度
培養精製UF/DF製剤
タンパク質濃度や工程液確認で使われる。
AAV
関連度中〜高
培地HEK293/Sf9培養精製製剤
細胞培養・下流・製剤工程で関係する。
レンチウイルス
関連度
培地培養精製製剤
ベクター液や工程液のモニタリングに関係する。
ワクチン
関連度
細胞培養ウイルス液製剤
培地、工程液、製剤確認で使われる。
細胞治療
関連度
培地細胞処理液洗浄液凍結保存液
閉鎖系工程や培地確認で関係する。
iPS細胞・幹細胞由来製品
関連度
培地分化液工程液
培地・添加液・細胞処理液の確認に関係する。
遺伝子編集
関連度
編集細胞ベクター製造反応液
関連工程液や反応の確認で使われる。
mRNA-LNP
関連度
酵素反応バッファーLNP製剤フロー混合
反応・混合・製剤工程で関係する。
プラスミドDNA
関連度
発酵アルカリ溶解精製バッファー
微生物工程・精製工程のモニタリングで使われる。
微生物発酵
関連度
基質代謝物発酵状態
発酵工程のリアルタイム監視で使われる。
低分子医薬品
関連度
フロー合成反応晶析乾燥粉体
NIR/FTIRの重要用途。反応・原料・製剤で使われる。

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