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バイオプロセス分析計

バイオプロセス分析計は、細胞培養中の培地成分、代謝物、ガス、電解質、浸透圧、細胞数、生存率などを測定し、培養状態を把握するための分析装置です。細胞数や生存率だけでなく、グルコース不足や乳酸蓄積、pH・浸透圧の変化などを確認することで、細胞の代謝状態や培養の進み方を理解できます。

培地成分代謝物ガス・電解質細胞数・生存率

用途・特徴

バイオプロセス分析計は、培養中の細胞状態や培地状態を定量的に確認するために使われます。主な測定項目には、グルコース、乳酸、グルタミン、グルタミン酸、アンモニア、pH、pCO2、pO2、電解質、浸透圧、細胞数、生存率などがあります。装置によって、培地成分に特化したもの、細胞数と生存率を測るもの、オンラインでグルコースや乳酸を測るもの、バイオリアクターと連携するものがあります。

シードトレインでは、細胞が本培養に入れてよい状態かを判断するために使われます。本培養では、栄養消費と代謝物蓄積を見ながらフィード戦略や培養終了タイミングを判断するために使われます。

Point
  • 細胞培養中の栄養成分・代謝物・細胞状態を測定する
  • グルコース、乳酸、グルタミン、アンモニア、pH、浸透圧などを見る
  • シードトレインでは本培養へ渡す細胞状態の確認に使われる
  • 本培養ではフィード添加、代謝管理、培養終了判断に関係する
  • 細胞カウンターや浸透圧計と組み合わせて使われる
  • オフライン測定、アットライン測定、オンライン測定がある
  • PATや自動制御と組み合わせると、フィード制御や工程安定化につながる

使用方法

基本的には、培養液から少量サンプルを採取し、必要に応じて細胞やデブリを除去してから分析計で測定します。

1培養液をサンプリングする
2必要に応じて遠心やろ過で前処理する
3分析計にサンプルをセットする
4測定項目を選択する
5グルコース、乳酸、グルタミン、pH、浸透圧などを測定する
6細胞数・生存率データと照合する
7栄養消費、代謝物蓄積、培養状態を確認する
8必要に応じてフィード、培地交換、培養終了判断に反映する
9データを記録し、ロット間比較や工程改善に使う
実際の運用は、装置の測定項目、必要サンプル量、培養スケール、サンプリング頻度、GMP対応、LIMS連携、バイオリアクター連携の有無によって変わります。

細胞カウンターとの違いは?

細胞カウンターとバイオプロセス分析計は、どちらも培養状態を見る装置ですが、見ている対象が違います。

結論

細胞カウンターは「細胞の数と生きている割合を見る装置」、バイオプロセス分析計は「培地と代謝の状態を見る装置」と考えると整理しやすいです。

主な対象

細胞そのもの

培地成分・代謝物・ガス・電解質など

主な測定項目

細胞数、生存率、細胞径、凝集

グルコース、乳酸、グルタミン、pH、浸透圧など

目的

細胞がどれだけ増えたかを見る

細胞がどう代謝しているかを見る

シードトレインでの役割

接種密度や増殖状態の判断

培地状態・代謝状態の確認

本培養での役割

VCD、Viability、IVCD確認

フィード、培養終了、代謝制御

注意点

サンプルの均一性、凝集、染色

サンプル前処理、校正、測定項目、干渉

浸透圧計との違いは?

項目浸透圧計バイオプロセス分析計
主な測定項目浸透圧栄養成分、代謝物、ガス、電解質、浸透圧など
目的培地・フィード添加後の浸透圧を確認する培養状態を多項目で確認する
測定範囲浸透圧に特化装置により多項目
使う場面培地調製、フィード条件、本培養管理シードトレイン、本培養、プロセス開発
注意点サンプル量、校正、凍結点方式など測定項目、消耗品、校正、サンプル前処理

オフライン・アットライン・オンライン測定の違い

測定方式内容特徴
オフライン測定サンプルを採取して別室・別装置で測定する手軽だが結果反映まで時間がかかる
アットライン測定製造現場近くでサンプルを測定する工程判断に使いやすい
オンライン測定バイオリアクターや流路に接続して自動測定するリアルタイム性が高く、制御に使いやすい
インライン測定センサーを工程内に直接設置して測定するサンプリングを減らせるが導入設計が必要
自動サンプリング連携自動サンプラーと分析計を接続する多点・多槽培養の監視に向く

主な測定項目

測定項目意味主な判断
グルコース主要な炭素源・エネルギー源フィード添加、栄養不足確認
乳酸代謝副産物代謝状態、pH変化、培養負荷
グルタミン窒素源・エネルギー代謝に関係栄養消費、培地設計
グルタミン酸グルタミン代謝に関係代謝状態、培地変化
アンモニア代謝副産物細胞毒性、培養終盤の負荷
pH培地の酸塩基状態CO2、乳酸、フィード、制御状態
pCO2溶存CO2状態ガス交換、スケールアップ、培養負荷
pO2酸素状態DO制御、酸素移動、細胞密度
Na+/K+/Ca2+電解質培地状態、細胞状態、培養環境
浸透圧溶質濃度の総合指標フィード過多、濃縮、細胞ストレス
細胞数細胞密度接種・継代・培養進行判断
生存率生細胞割合回復性、培養終盤、工程判断

選定ポイント

測定項目グルコース、乳酸、グルタミン、アンモニア、pH、浸透圧などに対応するか
細胞測定細胞数・生存率も測れるか、別装置で測るか
サンプル量小スケール培養やambrで使える少量サンプルに対応するか
スループット1日あたりのサンプル数、測定時間、オートサンプラー有無
精度・再現性ロット間比較や工程判断に使える再現性があるか
前処理細胞除去、希釈、遠心、ろ過が必要か
消耗品センサー、試薬、カートリッジ、校正液の供給性
校正・QC校正頻度、QC試料、装置チェックの運用がしやすいか
データ管理CSV出力、LIMS連携、監査証跡、ユーザー管理に対応するか
自動化連携バイオリアクター、自動サンプラー、ロボット、SCADAと接続できるか
GMP対応IQ/OQ、CSV、電子記録、権限管理、保守記録に対応できるか
設置性ベンチトップ、アットライン、クリーンルーム近傍に置けるか
保守国内保守、サービス体制、消耗品リードタイム、交換部品

使用される工程

バイオプロセス分析計は、培養状態の把握が必要な幅広い工程で使われます。

細胞株開発・クローン選抜

候補クローンの代謝傾向、増殖性、産生評価に使われる。

主な用途
  • 代謝評価

産生量スクリーニング

上清中の代謝物や培養状態を確認し、クローン評価に加える。

主な用途
  • 産生評価

セルバンク

融解後回復性や評価培養中の培地状態を確認する。

主な用途
  • 回復性

融解・回復培養

解凍後の細胞が正常に回復しているかを確認する。

主な用途
  • 回復確認

シードトレイン

本培養へ渡す細胞状態、栄養消費、乳酸蓄積を確認する。

主な用途
  • 状態判断

段階的な拡大培養

フラスコ、バッグ、小型培養装置で培養状態を比較する。

主な用途
  • 条件比較

小型培養装置

ベンチトップバイオリアクターや並列培養装置で条件比較に使われる。

主な用途
  • 条件比較

本培養

フィード添加、代謝管理、培養終了判断、工程理解に使われる。

主な用途
  • 代謝管理

ハーベスト判断

生存率低下、代謝変化、目的産物や不純物負荷の判断材料になる。

主な用途
  • 終了判断

プロセス開発

培地、フィード、温度シフト、pH、DO、接種密度の検討に使われる。

主な用途
  • 条件検討

品質評価・分析

CQA変化の背景として培養状態データを参照する。

主な用途
  • 品質背景

GMP製造

工程内管理、逸脱調査、ロット間比較、トレンド管理に使われる。

主な用途
  • 工程管理

使用されるモダリティー

バイオプロセス分析計は、細胞培養や発酵が関係する多くのモダリティーで使われます。

抗体医薬
関連度
CHO細胞シードトレイン本培養
グルコース、乳酸、細胞状態、フィード判断に使われる。
ADC
関連度
抗体原薬用CHO細胞
抗体部分の上流工程で抗体医薬と同様に使われる。
二重特異性抗体
関連度
CHO細胞複数鎖発現本培養
産生量・品質の背景となる培養状態確認に使われる。
Fc融合タンパク質・組換えタンパク質
関連度
CHOHEK293培養工程
組換えタンパク質生産の代謝管理に使われる。
AAV
関連度
HEK293Sf9Producer Cell
ウイルスベクター製造細胞の培養状態確認に使われる。
レンチウイルス
関連度
HEK293TProducer Cell
ベクター産生細胞の培養管理や工程理解に使われる。
ワクチン
関連度
VeroMDCK昆虫細胞細胞基材
細胞増殖やウイルス増殖前後の培養状態確認に使われる。
細胞治療
関連度中〜高
T細胞NK細胞MSCCAR-T
細胞増殖、代謝、培地状態、工程中確認に使われる。
iPS細胞・幹細胞由来製品
関連度中〜高
iPS細胞MSC分化細胞
培地状態、代謝、培養条件比較で使われる。
遺伝子編集
関連度中〜高
編集細胞回復培養拡大培養
編集後細胞の回復性や培養状態確認に使われる。
mRNA-LNP
関連度
評価細胞発現評価関連細胞培養
製造本体よりも細胞評価・発現確認で使われる。
プラスミドDNA
関連度
大腸菌発酵原料細胞評価
微生物培養ではグルコースなどの代謝管理に関係する。
微生物発酵
関連度
大腸菌酵母発酵工程
糖、乳酸、酢酸、エタノールなどの代謝確認に使われる。
低分子医薬品
関連度
細胞アッセイ毒性評価代謝評価
製造工程よりも評価系や細胞培養で使われる。

メーカー製品

多項目バイオプロセス分析計8
Nova BiomedicalBioProfile FLEX2細胞培養プロファイルを自動測定する多項目分析計。MicroSensor Card、光学測定、凍結点浸透圧測定を組み合わせ、培地成分・ガス・浸透圧などを包括的に測定する。公式URL Nova BiomedicalBioProfile FLEX2 Basic細胞培養の化学成分・ガス測定に対応する分析計。FLEX2シリーズの基本構成として、プロセス開発や細胞治療・遺伝子治療・ワクチン開発で使われる。公式URL Nova BiomedicalBioProfile 400細胞培養向けの代謝・培地成分分析計。研究・プロセス開発・製造での培養モニタリングに使われる。公式URL Roche CustomBiotechCedex Bio Analyzer低〜中サンプルスループット向けのバイオプロセス分析計。細胞培養プロセスのグルコース、乳酸、アンモニアなどの測定に使われる。公式URL Roche CustomBiotechCedex Bio HT Analyzerより高いサンプルスループット向けのバイオプロセス分析計。プロセス開発や多数サンプルの培養分析に使われる。公式URL Roche CustomBiotechCedex Analyzer Family栄養成分、代謝物、細胞形態・増殖などの変化を測定するCedex分析計ファミリー。バイオプロセス制御に使われる。公式URL Siemens HealthineersRAPIDPoint / RAPIDLab Blood Gas Systems血液ガス分析装置だが、pH、pCO2、pO2、電解質などの測定で細胞培養分析に応用される場合がある。用途適合性確認が必要。公式URL RadiometerABL Series Blood Gas Analyzers血液ガス分析装置。pH、pCO2、pO2、電解質などの測定で細胞培養プロセス分析に応用される場合がある。公式URL
オンライン・PAT分析装置8
SartoriusBioPAT Traceグルコース・乳酸などのオンラインモニタリングに使われる分析プラットフォーム。1〜4槽から複数パラメータを測定し、フィード制御へつなげることができる。公式URL SartoriusBioPAT Multi Trace複数培養槽のグルコース・乳酸などをオンライン監視するシステム。プロセス開発や自動制御に使われる。公式URL SartoriusBioPAT Viamass生細胞バイオマスをインラインで測定するシステム。シングルユースバイオリアクターに統合され、手動サンプリングを減らす。公式URL HamiltonIncyte Arc / Dencytee Arc誘電率・光学濃度などを利用したバイオマス測定センサー。細胞培養や発酵のオンライン監視に使われる。公式URL Aber InstrumentsBiomass Sensors誘電率測定による生細胞濃度モニタリングに使われるバイオマスセンサー。バイオリアクターでのオンライン監視に使われる。公式URL Mettler-ToledoInPro / Process Analytics SensorspH、DO、CO2、導電率などのプロセス分析センサー。バイオリアクターのオンライン制御で使われる。公式URL Endress+HauserRaman Rxn / Bioprocess Raman Solutionsラマン分光によるインライン/オンライン培養モニタリング。グルコース、乳酸、力価などのモデル化に使われる場合がある。公式URL 908 Devices / RepligenMAVEN / Rebel関連分析ソリューションバイオプロセスのメディア・代謝物・アミノ酸分析に関係する分析装置群。用途に応じてオフライン/アットラインで使われる。公式URL

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