CHO細胞用培地・フィード(抗体産生)

CHO細胞用培地・フィード

CHO細胞用培地・フィードは、抗体やFc融合タンパク質を高力価で産生させるCHO細胞のために最適化された化学規定培地と濃縮フィードである。増殖期を支える基礎培地と、産生期に栄養を補うフィードを組み合わせ、高い積算生細胞密度と長い産生期、安定した糖鎖品質を同時に狙う。CHO株への適合性・フィード戦略・代謝/浸透圧制御が選定軸になる。

CHO化学規定培地濃縮フィード流加/灌流
分類
CHO細胞用培地・フィード(抗体産生)
主な用途
CHO / 化学規定培地 / 濃縮フィード / 流加/灌流
関連モダリティ
抗体医薬 / 二重特異性抗体 / ADC(抗体部分) / Fc融合タンパク質・組換えタンパク質 / ワクチン・ウイルスベクター(別宿主) / 細胞治療・核酸医薬
代表メーカー
Thermo Fisher Scientific / Gibco・Cytiva / HyClone・FUJIFILM Biosciences・Merck / Sigma-Aldrich ほか計11社
関連キーワード
CHO細胞 / 化学規定培地 / 濃縮フィード / フェッドバッチ / 灌流培養 / 抗体生産

用途・特徴

CHO細胞用培地・フィードは、抗体やFc融合タンパク質を高力価で産生させることに最適化された化学規定培地と濃縮フィードの組み合わせである。選定が他モダリティと根本的に異なるのは、目的が「細胞を生かす」ことではなく「数週間の培養で数g/Lの分泌タンパク質を作らせ続ける」点にあるためで、高い積算生細胞密度の維持、産生期の代謝制御、産生量と並ぶ品質特性(特に糖鎖プロファイル)への影響までを培地・フィード設計で同時に満たす必要がある。

選定軸は、自社CHO株(DG44、CHO-K1、CHO-S、GS-KO株など)への適合性、増殖期と産生期で異なる栄養要求を満たすフィード戦略、そしてグルコース・乳酸・アンモニア・浸透圧の推移を狙いどおりに制御できるかである。化学規定・無動物由来であることはCHO生産では事実上の前提となり、培地メーカーが提供する基礎培地と濃縮フィードを「組み合わせ(プラットフォーム)」として評価するのが現場の標準的な進め方になる。

注意点として、CHO培地・フィードは細胞治療用培地のように細胞種ごとに選ぶのではなく、同じCHOでも株・発現系・スケール・灌流かフェッドバッチかで最適解が変わる。フィードの添加プロファイル(添加量・タイミング・分割)と濃縮フィードの沈殿・浸透圧上昇、グルコース別添まで含めて工程として最適化する必要があり、培地単体の性能比較だけでは選定が完結しない。

Point
  • 抗体産生CHOに最適化された化学規定の基礎培地と濃縮フィードの組み合わせで選ぶ
  • 目的は生存維持ではなく数週間で数g/Lの分泌タンパク質を作らせ続けること
  • 増殖期と産生期で栄養要求が変わるため基礎培地とフィードを分けて設計する
  • DG44・CHO-K1・CHO-S・GS-KO株など自社株への適合性と化学規定(CD/ADCF)が前提
  • グルコース・乳酸・アンモニア・浸透圧の推移を狙いどおり制御できるかが要点
  • メーカーの基礎培地+フィードを『プラットフォーム』として組み合わせ評価するのが標準

使用方法

基礎培地でシードトレインから本培養を立ち上げ、本培養中盤から濃縮フィードを規定のプロファイルで添加し、グルコースや浸透圧を見ながら産生期を延ばす。フェッドバッチと灌流で運用が分かれる。

1自社CHO株・発現系(DG44/GS-KO等)と運用(流加/灌流)を確認する
2基礎培地と適合する濃縮フィードの組み合わせを選ぶ
3シードトレイン〜本培養を基礎培地で立ち上げる
4本培養中盤からフィードを規定プロファイルで添加する
5グルコース・乳酸・アンモニア・浸透圧を測定し別添を調整する
6力価・生細胞密度・糖鎖など品質特性を評価する
実際の最適解はCHO株、発現系、スケール、フェッドバッチ/灌流、フィード添加量・タイミング・分割、グルコース別添の有無によって変わる。濃縮フィードは高濃度ゆえに沈殿や浸透圧上昇に注意し、産生量だけでなく糖鎖などの品質特性への影響も併せて確認する。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)