Product Guide

CHO細胞用培地・フィード

CHO細胞用培地・フィードは、抗体やFc融合タンパク質を高力価で産生させるCHO細胞のために最適化された化学規定培地と濃縮フィードである。増殖期を支える基礎培地と、産生期に栄養を補うフィードを組み合わせ、高い積算生細胞密度と長い産生期、安定した糖鎖品質を同時に狙う。CHO株への適合性・フィード戦略・代謝/浸透圧制御が選定軸になる。

CHO化学規定培地濃縮フィード流加/灌流

用途・特徴

CHO細胞用培地・フィードは、抗体やFc融合タンパク質を高力価で産生させることに最適化された化学規定培地と濃縮フィードの組み合わせである。選定が他モダリティと根本的に異なるのは、目的が「細胞を生かす」ことではなく「数週間の培養で数g/Lの分泌タンパク質を作らせ続ける」点にあるためで、高い積算生細胞密度の維持、産生期の代謝制御、産生量と並ぶ品質特性(特に糖鎖プロファイル)への影響までを培地・フィード設計で同時に満たす必要がある。

選定軸は、自社CHO株(DG44、CHO-K1、CHO-S、GS-KO株など)への適合性、増殖期と産生期で異なる栄養要求を満たすフィード戦略、そしてグルコース・乳酸・アンモニア・浸透圧の推移を狙いどおりに制御できるかである。化学規定・無動物由来であることはCHO生産では事実上の前提となり、培地メーカーが提供する基礎培地と濃縮フィードを「組み合わせ(プラットフォーム)」として評価するのが現場の標準的な進め方になる。

注意点として、CHO培地・フィードは細胞治療用培地のように細胞種ごとに選ぶのではなく、同じCHOでも株・発現系・スケール・灌流かフェッドバッチかで最適解が変わる。フィードの添加プロファイル(添加量・タイミング・分割)と濃縮フィードの沈殿・浸透圧上昇、グルコース別添まで含めて工程として最適化する必要があり、培地単体の性能比較だけでは選定が完結しない。

Point
  • 抗体産生CHOに最適化された化学規定の基礎培地と濃縮フィードの組み合わせで選ぶ
  • 目的は生存維持ではなく数週間で数g/Lの分泌タンパク質を作らせ続けること
  • 増殖期と産生期で栄養要求が変わるため基礎培地とフィードを分けて設計する
  • DG44・CHO-K1・CHO-S・GS-KO株など自社株への適合性と化学規定(CD/ADCF)が前提
  • グルコース・乳酸・アンモニア・浸透圧の推移を狙いどおり制御できるかが要点
  • メーカーの基礎培地+フィードを『プラットフォーム』として組み合わせ評価するのが標準

使用方法

基礎培地でシードトレインから本培養を立ち上げ、本培養中盤から濃縮フィードを規定のプロファイルで添加し、グルコースや浸透圧を見ながら産生期を延ばす。フェッドバッチと灌流で運用が分かれる。

1自社CHO株・発現系(DG44/GS-KO等)と運用(流加/灌流)を確認する
2基礎培地と適合する濃縮フィードの組み合わせを選ぶ
3シードトレイン〜本培養を基礎培地で立ち上げる
4本培養中盤からフィードを規定プロファイルで添加する
5グルコース・乳酸・アンモニア・浸透圧を測定し別添を調整する
6力価・生細胞密度・糖鎖など品質特性を評価する
実際の最適解はCHO株、発現系、スケール、フェッドバッチ/灌流、フィード添加量・タイミング・分割、グルコース別添の有無によって変わる。濃縮フィードは高濃度ゆえに沈殿や浸透圧上昇に注意し、産生量だけでなく糖鎖などの品質特性への影響も併せて確認する。

使用される工程

CHO細胞用培地・フィードは、抗体生産の細胞株開発からシードトレイン、本培養、灌流までアップストリーム全体で使われる。

細胞株開発・クローン選抜

高産生クローンの選抜・評価培養で、後段の生産培地につながる培地系を使う。

主な用途
  • クローン評価
  • 産生性スクリーニング

シードトレイン

基礎培地で生細胞密度と生存率を保ちながら段階的に拡大し、本培養の立ち上がりを整える。

主な用途
  • 増殖期重視
  • 拡大培養

フェッドバッチ本培養

基礎培地に濃縮フィードを規定プロファイルで添加し、産生期を延ばして力価を最大化する。

主な用途
  • 濃縮フィード添加
  • 産生期延長
  • 力価最大化

灌流培養

高密度を維持する灌流対応培地を連続供給し、強化シードや原薬連続生産に用いる。

主な用途
  • 高密度維持
  • 連続供給

使用されるモダリティー

CHO細胞用培地・フィードは、CHO細胞で生産する抗体・組換えタンパク質系モダリティで関連度が最も高く、別の宿主細胞を使うモダリティでは選定が異なるか対象外になる。

抗体医薬
関連度
CHO本培養フェッドバッチ灌流
CHO生産の中心モダリティで、本培地・フィードの主用途。力価と糖鎖品質の両立を培地・フィードで設計する。
二重特異性抗体
関連度
CHO本培養複数鎖発現
複数鎖の発現バランスを保ちつつ高産生を狙うCHO培養で同様に使われる。
ADC(抗体部分)
関連度
抗体原薬用CHO培養
ADCの抗体本体を作るCHO培養で使われ、選定軸は抗体医薬とほぼ共通。
Fc融合タンパク質・組換えタンパク質
関連度
CHO本培養分泌生産
CHOで分泌生産する組換えタンパク質に広く用いる。糖鎖を持つ分子では品質影響の確認が要点。
ワクチン・ウイルスベクター(別宿主)
関連度低〜中
HEK293/Sf9/Vero系は対象外
HEK293やSf9、Vero等を使うため、CHO最適化培地は基本的に対象外。各宿主専用培地を選ぶ。
細胞治療・核酸医薬
関連度低〜中
非CHO系対象外
T細胞・iPS細胞やプラスミド・mRNAは宿主・目的が異なり、CHO生産培地は適用外。

メーカー製品

関連記事

セルバンクとは?抗体医薬の製造に使う細胞を保存・管理する工程基礎知識・培養セルバンクとは?抗体医薬の製造に使う細胞を保存・管理する工程なぜモノクローナル抗体はCHO細胞で作るのか?高発現だけでは説明できない理由基礎知識・培養なぜモノクローナル抗体はCHO細胞で作るのか?高発現だけでは説明できない理由シードトレインとは?セルバンクから本培養へつなぐ段階的な培養工程基礎知識・培養シードトレインとは?セルバンクから本培養へつなぐ段階的な培養工程糖鎖分析とは?抗体医薬における糖鎖プロファイルを評価する基礎知識・分析糖鎖分析とは?抗体医薬における糖鎖プロファイルを評価するHCPとは?抗体医薬に残る宿主細胞由来タンパク質とELISA分析基礎知識・分析HCPとは?抗体医薬に残る宿主細胞由来タンパク質とELISA分析N-1パーフュージョンとは?高密度接種で本培養を強化する応用・培養N-1パーフュージョンとは?高密度接種で本培養を強化する