Product Guide

自動サンプリング装置

自動サンプリング装置は、バイオリアクター、培養槽、発酵槽、プロセスラインから、決められたタイミングで培養液や工程液を自動採取するための装置です。採取したサンプルを分析装置や細胞カウンター、HPLC、LC-MS、フラクションコレクターへ送り、培養状態のトレンド把握やフィード制御、PAT、プロセス開発、スケールアップに活用されます。

自動サンプリング培養モニタリングPATフィード制御

用途・特徴

自動サンプリング装置は、培養中のサンプル採取を自動化し、分析装置やデータ管理システムへつなぐために使われます。手動サンプリングでは、採取時間がずれたり、サンプル量が変わったり、無菌操作にばらつきが出たりします。自動サンプリング装置では、あらかじめ設定したスケジュールに沿ってサンプルを採取できるため、多槽培養、長時間培養、夜間測定、並列培養装置との連携で効果が出ます。

採取したサンプルは、すぐに分析装置へ送る、冷却保管する、希釈する、フラクションとして保存する、フィルターで細胞を除去するなど、目的に応じて処理されます。分析結果をフィード制御や培養制御へ戻せば、プロセスの自動化・閉ループ制御にもつながります。

Point
  • 培養槽やプロセスラインからサンプルを自動採取する装置
  • 手動サンプリングの時間ばらつき、作業者差、記録ミスを減らしやすい
  • 複数培養槽、多点測定、夜間・休日のサンプリングに向く
  • バイオプロセス分析計、細胞カウンター、HPLC、UPLC、LC-MSと接続できる
  • フィード制御、PAT、プロセス開発、培養終了判断に使われる
  • 無菌性、デッドボリューム、サンプル代表性、洗浄、キャリーオーバーが重要
  • GMP用途ではサンプリング記録、電子記録、監査証跡、バリデーションが重要になる

使用方法

基本的には、バイオリアクターや培養槽のサンプリングポートと自動サンプリング装置を接続し、採取スケジュールや送液先を設定して運用します。

1サンプリング対象の培養槽を決める
2サンプリングポート、チューブ、バルブ、フィルターを接続する
3自動サンプリング装置へ流路を接続する
4洗浄液、廃液ライン、希釈液、保存容器を準備する
5採取量、採取間隔、採取時刻を設定する
6送液先の分析装置やフラクションコレクターを設定する
7サンプリングを開始する
8分析結果を確認する
9必要に応じてフィード添加や培養条件へ反映する
10使用後に流路洗浄、廃液処理、記録確認を行う
実際の運用は、培養槽数、サンプル量、分析装置、サンプリング頻度、無菌性、細胞除去の有無、GMP対応、データ連携の有無によって変わります。

手動サンプリングとの違いは?

手動サンプリングと自動サンプリングは、同じ「サンプルを取る」操作ですが、再現性とデータ密度が変わります。

結論

プロセス開発や並列培養では、自動サンプリングによりデータ取得の密度と再現性を高めやすくなります。

採取タイミング

作業者依存

スケジュール設定で一定化しやすい

採取量

ばらつきやすい

設定量で採取しやすい

作業負荷

高い

低減できる

夜間・休日

取りにくい

自動採取できる

多槽培養

作業負荷が大きい

複数槽を順番に測定しやすい

汚染リスク

操作回数に依存

閉鎖系で低減しやすい

データ密度

低〜中

高頻度データを取りやすい

注意点

作業者教育、SOP

流路洗浄、キャリーオーバー、バリデーション

オンライン・アットライン・オフラインとの関係

測定方式内容自動サンプリングとの関係
オフライン測定サンプルを採取し、別室・別装置で測定する手動採取が多いが、自動採取後に保管して測ることもある
アットライン測定製造現場近くで分析する自動サンプリング装置と分析計を接続しやすい
オンライン測定プロセスに接続して自動測定する自動サンプリング装置がオンライン分析の入口になる
インライン測定センサーを工程内に直接設置するサンプリング不要だが、測定項目が限定されることがある
PAT工程中データを使ってプロセスを理解・制御する自動サンプリングはPATデータ取得の手段になる

自動サンプリングで見る項目

測定項目主な分析装置主な用途
細胞数・生存率自動セルカウンター増殖状態、接種判断、培養終了判断
グルコースバイオプロセス分析計フィード添加、栄養管理
乳酸バイオプロセス分析計代謝状態、pH変化、培養負荷
グルタミン・アンモニアバイオプロセス分析計窒素代謝、培養負荷
pH・pCO2・pO2ガス/血液ガス系分析計ガス交換、培養環境確認
浸透圧浸透圧計フィード影響、濃縮、蒸発
力価HPLC、Octet、ELISA産生量、培養進行
糖鎖HILIC、LC-MS品質変化、培養条件影響
電荷異性体CEX、icIEFpH、培養条件、品質評価
不純物HCP、DNA、分析装置品質・工程理解
アミノ酸REBEL、LC、HPLC培地・フィード最適化

自動サンプリングで重要な注意点

注意点内容
サンプル代表性培養槽内のサンプルが全体を代表しているか
デッドボリュームチューブ内に残る古い液が測定に影響しないか
キャリーオーバー前回サンプルが次回サンプルへ混入しないか
細胞沈降チューブ内やライン内で細胞が沈降しないか
サンプル劣化採取後に代謝が進み、値が変化しないか
無菌性サンプリングラインから汚染が入らないか
洗浄流路洗浄、リンス、滅菌、廃液処理が適切か
希釈自動希釈の精度や希釈液の影響
分析装置連携装置間のタイミング、サンプル量、フォーマットが合うか
データ紐付けサンプル時刻、培養槽、分析結果が正しく紐付くか

主なタイプ

タイプ内容向く用途
オンライン自動サンプリング装置培養槽から自動採取し分析装置へ送るバイオリアクター、プロセス開発、本培養
多槽対応サンプリング装置複数の培養槽から順番に採取するambr、並列培養、複数ベンチトップ
自動希釈対応装置採取後に希釈して分析装置へ送る細胞カウンター、代謝物分析
フラクション回収型採取サンプルをバイアルやプレートへ保存する後日HPLC、LC-MS、品質分析
細胞除去フィルター付き細胞を除去した上清を採取する代謝物、力価、品質分析
無菌サンプリングバルブ型無菌バルブで定期採取するGMP製造、閉鎖系運用
反応解析用自動サンプラー化学反応や合成反応から自動採取する低分子、フロー合成、反応モニタリング
PAT統合型分析結果を制御へ戻すフィード制御、閉ループ制御

選定ポイント

接続対象バイオリアクター、発酵槽、ambr、SUB、ステンレス槽に接続できるか
対応槽数1槽、4槽、8槽、24槽など、必要な槽数に対応するか
サンプル量少量サンプルで測定できるか、分析装置に必要量を送れるか
サンプリング頻度分単位、時間単位、日単位など運用に合うか
無菌性閉鎖系、滅菌済み流路、無菌接続に対応するか
細胞含有/除去細胞懸濁液を扱うか、細胞除去上清を扱うか
自動希釈細胞数測定や濃度測定に必要な希釈に対応するか
分析装置連携BioProfile、Cedex、Vi-CELL、HPLC、UPLCなどと接続できるか
サンプル保管冷却、フラクション回収、クエンチ、保存に対応するか
洗浄・リンスキャリーオーバー防止、流路洗浄、廃液管理ができるか
データ連携サンプル時刻、培養槽、分析結果を紐付けられるか
制御連携フィードポンプ、バイオリアクター制御、SCADAと接続できるか
GMP対応IQ/OQ、CSV、電子記録、監査証跡、SOP対応
消耗品チューブ、フィルター、バルブ、プローブ、流路の供給性
保守国内保守、校正、装置サポート、部品供給

使用される工程

自動サンプリング装置は、培養状態を継続的にモニタリングする工程で広く使われます。

細胞株開発・クローン選抜

並列培養の代謝データや産生データ取得に使われる。

主な用途
  • 代謝データ
  • 産生データ

シードトレイン

本培養へ渡す前の細胞状態や代謝状態を定期的に確認する。

主な用途
  • 細胞状態確認

小型培養装置

ベンチトップリアクターやambrから定期サンプリングする。

主な用途
  • 定期サンプリング

本培養

フィード添加、培養終了判断、代謝管理に使われる。

主な用途
  • フィード添加
  • 代謝管理

フェッドバッチ培養

グルコース・乳酸・細胞数・力価を追い、フィード戦略を評価する。

主な用途
  • フィード戦略

灌流培養

高頻度サンプリングで培養状態と排液状態を確認する。

主な用途
  • 高頻度測定

ウイルスベクター製造

HEK293/Sf9培養中の代謝・細胞状態・産生を確認する。

主な用途
  • 代謝・産生確認

微生物発酵

糖、乳酸、酢酸、OD、代謝物を追跡する。

主な用途
  • 代謝追跡

プロセス開発

培地、フィード、pH、DO、温度、接種密度の条件比較に使われる。

主な用途
  • 条件比較

PAT

分析結果を制御へ戻し、フィードや培養条件の自動制御につなげる。

主な用途
  • 閉ループ制御

GMP製造

工程内管理、トレンド管理、逸脱調査、ロット間比較に使われる。

主な用途
  • 工程内管理
  • トレンド管理

使用されるモダリティー

自動サンプリング装置は、培養や発酵が関係する多くのモダリティーで使われます。

抗体医薬
関連度
CHO細胞本培養フェッドバッチ灌流
フィード判断、代謝管理、力価・品質トレンド確認に使われる。
ADC
関連度
抗体原薬用CHO細胞
抗体部分の本培養モニタリングで関係する。
二重特異性抗体
関連度
CHO細胞複数鎖発現本培養
産生量や品質変化を追うために使われる。
Fc融合タンパク質・組換えタンパク質
関連度
CHOHEK293本培養
培養状態と産生を定期的に確認する。
AAV
関連度
HEK293Sf9Producer Cell
ウイルスベクター製造細胞の代謝・細胞状態確認に使われる。
レンチウイルス
関連度
HEK293TProducer Cell
ベクター産生プロセスのタイミング管理に関係する。
ワクチン
関連度
VeroMDCK昆虫細胞
細胞増殖やウイルス増殖の工程理解に使われる。
細胞治療
関連度中〜高
T細胞NK細胞MSC
閉鎖系培養や細胞拡大の工程中確認で使われる場合がある。
iPS細胞・幹細胞由来製品
関連度中〜高
iPS細胞MSC分化細胞
培地状態や分化・拡大工程のモニタリングで使われる。
遺伝子編集
関連度中〜高
編集細胞Producer Cell
編集後細胞やベクター製造の培養状態確認で関係する。
mRNA-LNP
関連度
評価細胞酵素・原料タンパク生産
mRNA本体より関連細胞培養や発酵で関係する。
プラスミドDNA
関連度
大腸菌発酵
発酵中の代謝・OD・添加タイミング確認に使われる。
微生物発酵
関連度
大腸菌酵母発酵工程
高頻度サンプリングで発酵状態を把握する。
低分子医薬品
関連度中〜高
フロー合成反応モニタリング
化学反応の自動サンプリングにも応用される。

メーカー製品

バイオプロセス自動サンプリング装置8
FlownamicsSeg-Flow S3 Automated Sampling Systemバイオリアクターやプロセスストリームから自動サンプリングし、分析装置やフラクションコレクターへ送るオンラインサンプリングシステム。最大8系統から採取し、最大4台の分析装置へ接続できる。公式URL FlownamicsSeg-Flow Automated Sampling Systems手動サンプリングで起きる採取時間、容量、希釈のばらつきを減らし、分析装置への送液や温度保管に対応する自動サンプリングシステム。公式URL FlownamicsAcquire Automated Sampling System培養槽やプロセスから自動サンプル取得を行うシステム。バイオプロセスのモニタリングやサンプル保管に使われる。公式URL FlownamicsSample-Mod S3Seg-Flow S3と組み合わせ、インライン希釈や分析装置へのサンプル供給に使われるモジュール。公式URL SecurecellNumeraバイオリアクターとアットライン分析装置を流体的に接続し、サンプルスケジューリング、測定、データ取得を支援する自動サンプリング・分析プラットフォーム。公式URL SecurecellNumera / Lucullus Platform自動サンプリング、分析装置連携、データ管理、フィード制御を組み合わせるバイオプロセス自動化プラットフォーム。公式URL Mettler-ToledoEasySampler 1210自動サンプリング装置。主に化学反応やプロセス開発で使われ、無人でサンプル採取を行う。バイオプロセス用途では適合性確認が必要。公式URL Mettler-ToledoEasySampler Probe Sets反応系から毎回一定位置・一定容量でサンプルを採取するためのプローブセット。反応モニタリングやサンプル取得に使われる。公式URL
オンライン分析・PAT連携装置8
SartoriusBioPAT Trace1〜4基の培養槽からグルコース、乳酸などをオンライン測定する分析プラットフォーム。栄養・代謝物モニタリングとフィード制御に使われる。公式URL SartoriusBioPAT Multi Trace複数培養槽のグルコース・乳酸などをオンライン監視するシステム。並列培養やプロセス開発で使われる。公式URL SartoriusBioPAT Viamass生細胞バイオマスをインラインで測定するセンサー。サンプリングを減らし、培養状態をリアルタイムに追う用途で使われる。公式URL Nova BiomedicalBioProfile FLEX2細胞培養プロファイルを測定する多項目分析計。自動サンプリング装置と接続し、グルコース、乳酸、ガス、浸透圧などを測定する。公式URL Roche CustomBiotechCedex Bio Analyzerグルコース、乳酸、アンモニアなどの培地成分を測定するバイオプロセス分析計。自動サンプリングと組み合わせて使われる。公式URL Beckman Coulter Life SciencesVi-CELL BLU with Flownamics Seg-Flow S3Seg-Flow S3と連携し、バイオリアクターやプロセスストリームからのサンプルを細胞数・生存率測定へ送る構成。公式URL 908 DevicesREBEL Cell Culture Media Analyzer培地中のアミノ酸、ビタミン、その他成分を測定するアットライン分析装置。自動サンプリングやワークフロー連携の候補になる。公式URL YSI / XylemYSI 2900D Biochemistry Analyzerグルコース、乳酸、グルタミンなどの代謝物測定に使われる分析装置。自動サンプリングと併用して培養状態を追う。公式URL
自動サンプリング用プローブ・無菌バルブ・流路8

関連製品

関連記事

本培養とは?抗体医薬の産生量と品質を決める培養工程基礎知識・培養本培養とは?抗体医薬の産生量と品質を決める培養工程バイオリアクターのスケールアップとは?大きくするほど難しくなる理由基礎知識・培養バイオリアクターのスケールアップとは?大きくするほど難しくなる理由シードトレインとは?セルバンクから本培養へつなぐ段階的な培養工程基礎知識・培養シードトレインとは?セルバンクから本培養へつなぐ段階的な培養工程N-1パーフュージョンとは?高密度接種で本培養を強化する応用・培養N-1パーフュージョンとは?高密度接種で本培養を強化するなぜモノクローナル抗体はCHO細胞で作るのか?高発現だけでは説明できない理由基礎知識・培養なぜモノクローナル抗体はCHO細胞で作るのか?高発現だけでは説明できない理由