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小型培養バッグ

小型培養バッグは、細胞をシングルユースのバッグ内で培養するための容器です。Tフラスコや培養プレートが静置培養の基本容器であるのに対し、小型培養バッグは、より閉鎖系に近い形で細胞を培養・拡大するために使われます。バッグの種類によって、ロッキングモーションで混合するタイプ、ガス透過性フィルムを使って静置培養するタイプ、細胞治療向けに閉鎖系操作を意識したタイプなどがあります。

シングルユース閉鎖系拡大ロッキング培養細胞治療

用途・特徴

小型培養バッグは、細胞をバッグ内で培養し、開放操作を減らしながら段階的に拡大するために使われます。ロッキングバッグは、バッグを揺らすことで培地を混合し、酸素移動や栄養供給を改善します。浮遊CHO細胞、HEK293細胞、昆虫細胞、ワクチン用細胞などの培養に使われることがあります。

ガス透過性の静置培養バッグは、T細胞、NK細胞、MSC、幹細胞などの細胞治療関連で使われることがあります。培養面積、ガス交換、細胞密度、バッグ形状、ポート構成によって使い勝手が変わります。

Point
  • シングルユースのバッグ内で細胞を培養できる
  • フラスコより閉鎖系に近い運用ができる
  • シードトレイン、細胞治療、再生医療で使われる
  • ロッキングバッグ、静置培養バッグ、ガス透過性バッグなどがある
  • 開放操作、洗浄、滅菌作業を減らしやすい
  • バッグサイズ、作業容量、ポート構成、ガス交換性能が重要
  • 本培養用シングルユースバイオリアクターや細胞処理装置へ接続しやすい

使用方法

基本的には、培地と細胞懸濁液をバッグへ無菌的に充填し、静置またはロッキング条件で培養します。

1培養バッグを準備する
2培地をバッグに充填する
3必要に応じてバッグ内を平衡化する
4細胞懸濁液を接種する
5ポートやチューブを閉鎖・接続する
6CO2インキュベーター、ロッキング装置、専用培養装置へセットする
7静置またはロッキング条件で培養する
8必要に応じてサンプリング、培地追加、フィード、培地交換を行う
9細胞数、生存率、代謝、pH、浸透圧などを確認する
10次のバッグ、小型バイオリアクター、本培養、細胞処理工程へ移行する
実際の条件は、細胞種、バッグ形状、培地量、細胞密度、ガス交換、CO2環境、ロッキング条件、閉鎖系接続、GMP要件によって変わります。

Tフラスコとの違いは?

Tフラスコと小型培養バッグは、どちらも細胞培養に使われますが、閉鎖性とスケールアップの考え方が異なります。

結論

Tフラスコは「扱いやすい静置培養容器」、小型培養バッグは「閉鎖系に近づけやすい拡大培養容器」と考えると整理しやすくなります。

容器形状

硬いプラスチック容器

柔軟なシングルユースバッグ

培養方式

静置培養

静置またはロッキング培養

閉鎖性

開放操作が多くなりやすい

チューブ接続で閉鎖系に近づけやすい

スケールアップ

培養面積を増やす

バッグ容量やバッグ数を増やす

主な用途

回復培養、継代、初期培養

拡大培養、細胞治療、閉鎖系培養

自動化・接続

限定的

ポートやチューブで接続しやすい

注意点

手作業、コンフルエンス、開放操作

バッグ適合性、混合、ガス交換、サンプリング

シェイクフラスコとの違いは?

項目シェイクフラスコ小型培養バッグ
混合方式フラスコ全体を振とう静置、ロッキング、専用装置による混合
閉鎖性キャップ開閉やサンプリング操作が必要チューブ・ポート接続で閉鎖系に近い
主な用途浮遊CHO、HEK293、条件検討シードトレイン、細胞治療、閉鎖系拡大
スケールアップフラスコサイズや本数を増やすバッグサイズ、作業容量を増やす
CO2環境CO2シェーカーで培養CO2インキュベーターまたは専用装置
サンプリング手作業が多いポート経由で行える場合がある
向く場面研究・開発、小型条件検討GMP寄り、閉鎖系、細胞治療、工程接続

小型シングルユースバイオリアクターとの違いは?

項目小型培養バッグ小型シングルユースバイオリアクター
役割バッグ内での培養・拡大制御された培養工程
制御性限定的pH、DO、温度、撹拌、ガス制御が可能
混合静置、ロッキング、簡易混合撹拌、ロッキング、制御混合
センサーなし、または限定的pH/DOセンサー付きが多い
データ取得限定的培養パラメータを記録しやすい
用途シードトレイン、細胞治療、初期拡大プロセス開発、条件最適化、スケールアップ
注意点ガス交換、混合、サンプリング装置運用、センサー、コスト

主なタイプ

タイプ内容向く用途
ロッキング培養バッグバッグを揺らして混合するタイプ浮遊細胞、シードトレイン、ウイルスベクター
静置ガス透過性バッグガス透過性フィルムで培養するタイプT細胞、NK細胞、MSC、細胞治療
分化用バッグ細胞分化や長期培養を想定したバッグiPS由来細胞、免疫細胞、幹細胞
拡大培養バッグ容量を増やしながら培養するバッグ細胞治療、閉鎖系拡大
マルチコンパートメントバッグ複数区画を持つバッグ段階的な培養量拡大
サンプリングポート付きバッグ無菌サンプリングや添加がしやすい工程管理、培地交換、QC
フィルター付きバッグガス交換や通気を考慮した構成浮遊培養、ロッキング培養
接続用チューブ付きバッグチューブウェルダーや無菌接続に対応GMP、閉鎖系製造
小容量バッグ50〜500 mL程度初期拡大、細胞治療、小スケール
中容量バッグ1〜10 L程度シードトレイン、拡大培養、ロッキング培養

選定ポイント

細胞タイプCHO、HEK293、T細胞、NK細胞、MSC、iPS由来細胞など
培養方式静置培養、ロッキング培養、閉鎖系拡大のどれか
バッグ容量100 mL、250 mL、500 mL、1 L、2 L、10 Lなど
作業容量バッグ総容量に対して実際に培養できる液量
ガス交換ガス透過性フィルム、フィルター、ヘッドスペースが十分か
混合性ロッキング条件、液量、せん断、沈降が適切か
ポート構成サンプリング、培地追加、細胞回収、ガスラインに対応するか
閉鎖系接続無菌接続、チューブウェルダー、チューブシーラーに対応するか
材質・フィルム細胞適合性、溶出物、抽出物、透明性を確認する
観察性顕微鏡観察、細胞凝集、濁り、培地色を確認しやすいか
GMP対応滅菌、エンドトキシン、CoA、抽出物/溶出物情報、ロット管理
スケールアップ次のバッグ、WAVE型、SUB、ベンチトップリアクターへ移行できるか
供給安定性国内在庫、リードタイム、カスタム対応、セカンドソース

使用される工程

小型培養バッグは、細胞を閉鎖系に近い形で培養・拡大する工程で使われます。

細胞株開発・クローン選抜

候補クローンの小型拡大、浮遊培養適応確認に使われる場合がある。

主な用途
  • 小型拡大

セルバンク

評価用細胞や製造用細胞の再立ち上げ後の拡大に使われる場合がある。

主な用途
  • 再立ち上げ

融解・回復培養

解凍後に回復させた細胞をバッグ培養へ移行する。

主な用途
  • 回復培養

シードトレイン

フラスコから本培養・小型培養装置へつなぐ段階的拡大で使われる。

主な用途
  • 段階拡大

段階的な拡大培養

小容量から中容量バッグへ培養量を増やす。

主な用途
  • 容量拡大

小型培養装置への接続

WAVE型や小型SUB、ベンチトップバイオリアクターへ移行する。

主な用途
  • 装置接続

本培養前の種培養

本培養へ接種する細胞を閉鎖系に近い形で準備する。

主な用途
  • 種培養

細胞治療製造

T細胞、NK細胞、MSCなどの培養・拡大・分化に使われる。

主な用途
  • 細胞治療

再生医療等製品

iPS由来細胞、幹細胞、分化細胞の培養・拡大に関係する。

主な用途
  • 再生医療

ウイルスベクター製造

HEK293、Sf9、Producer Cellの拡大培養で使われる場合がある。

主な用途
  • ベクター製造

GMP製造

開放操作を減らした培養・接続・移送に使われる。

主な用途
  • 閉鎖系製造

使用されるモダリティー

小型培養バッグは、細胞を拡大培養する多くのモダリティーで使われます。

抗体医薬
関連度中〜高
CHO細胞シードトレイン本培養前種培養
フラスコからロッキングバッグやSUBへつなぐ拡大培養で使われる。
ADC
関連度中〜高
抗体原薬用CHO細胞
抗体部分の製造細胞拡大で抗体医薬と同様に関係する。
二重特異性抗体
関連度中〜高
CHO細胞候補クローン拡大
製造用細胞の段階拡大で使われる場合がある。
Fc融合タンパク質・組換えタンパク質
関連度中〜高
CHOHEK293シードトレイン
産生細胞の拡大培養で関係する。
AAV
関連度
HEK293Sf9Producer Cell
ウイルスベクター製造細胞の拡大培養で使われる。
レンチウイルス
関連度
HEK293TPackaging CellProducer Cell
ベクター製造用細胞や細胞治療向け工程で関係する。
細胞治療
関連度
T細胞NK細胞MSC、CAR-T
閉鎖系培養、拡大、分化、細胞処理で重要。
iPS細胞・幹細胞由来製品
関連度
iPS細胞分化細胞MSC
幹細胞や分化細胞の培養・拡大で関係する。
遺伝子編集
関連度
編集T細胞編集iPS編集細胞株
編集後細胞の回復・拡大培養で使われる。
ワクチン
関連度中〜高
細胞基材ウイルス増殖種培養
細胞基材の拡大やロッキングバッグ培養で関係する。
mRNA-LNP
関連度低〜中
評価細胞原料細胞
製造本体よりも評価細胞や関連細胞培養で使われる。
微生物発酵
関連度低〜中
通常はフラスコや発酵槽
微生物の主工程では小型培養バッグは主流ではない。
低分子医薬品
関連度低〜中
細胞アッセイ評価細胞
製造工程よりも細胞評価系で使われる。

メーカー製品

ロッキング培養バッグ8
CytivaCellbag Bioreactor ContainersWAVE Bioreactor用の滅菌済みシングルユース培養バッグ。動物細胞培養向けに、非侵襲的な混合を行う培養チャンバーとして使われる。公式URL CytivaWAVE CELLBAG滅菌済みディスポーザブル培養チャンバー。サンプリングや通気に必要な各種ポートを備え、cGMP要求事項に対応する構成が案内されている。公式URL SartoriusFlexsafe RM BagsBiostat RM用のロッキングモーション培養バッグ。1 L〜200 Lのサイズ展開があり、低せん断の細胞培養に使われる。公式URL SartoriusFlexsafe RM Basic Bagsシードトレインやロッキングモーション培養向けのシングルユースバッグ。小容量から大容量まで段階拡大に使われる。公式URL SartoriusBiostat RM / Flexsafe RM PlatformFlexsafe RMバッグと組み合わせて使うロッキングモーション型シングルユースバイオリアクター。シードトレインや細胞培養に使われる。公式URL Thermo Fisher ScientificHyPerforma Rocker Bioreactor Bagsロッキングモーション型シングルユースバイオリアクター向けバッグ。浮遊細胞やウイルスベクター製造細胞の培養に関係する。公式URL MeissnerOne-Touch 2D / Biocontainer Systemsバイオプロセス向けシングルユースバッグ。培養、保管、移送用途で構成検討される場合がある。公式URL Merck MilliporeMobius Single-use Bagsバイオプロセス向けのシングルユースバッグ。液体処理、保管、工程接続で使われる。培養用途では適合性確認が必要。公式URL
ガス透過性・細胞治療向け培養バッグ8
関連装置・周辺製品9

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