「P-糖タンパク質」とは?
別名・英語表記:P-gp / ABCB1 / MDR1 / P-糖タンパク質(P-gp)
血液脳関門などに多い代表的な排出トランスポーター。基質を血液側へ汲み戻し脳移行を妨げる。
別名・英語表記:P-gp / ABCB1 / MDR1 / P-糖タンパク質(P-gp)
血液脳関門などに多い代表的な排出トランスポーター。基質を血液側へ汲み戻し脳移行を妨げる。
P-糖タンパク質(P-gp)は、血液脳関門や腸上皮に存在する代表的な排出トランスポーターで、遺伝子名はABCB1/MDR1とも呼ばれます。細胞内に入った薬を血液側へ能動的に汲み戻すため、膜透過性が十分に見える化合物でも、P-gp基質であると生体では脳にほとんど届かないことがあります。
血液脳関門の障壁は、タイトジャンクションによる受動通過の制限だけでなく、P-gpとBCRPによる能動的な排出という二段構えで成り立っています。タイトジャンクションで閉じた内皮が受動的な通過をまず制限し、それでも細胞内に入り込んだ薬をP-gpとBCRPがさらに血液側へ汲み戻します。試験管の膜透過性試験では十分に通りそうに見える化合物であっても、P-gpの良い基質であると、生体では脳にほとんど届かない結果になることがあるのはこのためです。
P-gp基質であることは、中枢移行を狙う薬の開発では避けるべき性質ですが、末梢だけで効かせたい薬においては、中枢性副作用を避ける助けになる場合もあります。また、P-gpとBCRPは基質の重なりが大きく、両方の基質になる化合物も珍しくないため、CNS MPOのような指標を使いながら両トランスポーターに汲み出されにくい構造を探ることが実務上の課題になります。なお、腸上皮にもP-gpは存在しており、経口吸収の段階でも排出ポンプとして働きます。
P-gp基質性の評価には、ヒトP-gp(MDR1)を強制発現させたMDCK-MDR1細胞の単層がよく使われます。透過方向をA→BとB→Aの両方で測り、その比であるefflux ratioが大きければP-gpに汲み出されやすい、すなわち血液脳関門で排出を受けやすい化合物と見当がつきます。efflux ratioが1より明確に小さければP-gpなどの排出が優勢で脳へ入りにくい状態、逆に1より大きければ取り込み側の輸送が働くなど脳側に濃縮される状態を示唆します。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。