試験管内転写(IVT)で作った mRNA の不純物である二本鎖RNA(dsRNA)について、プソイドウリジンや N1-メチルプソイドウリジンを含む dsRNA は、抗体を使うELISAで検出しきれないことを示したプレプリントが bioRxiv に公開された。感度の高いELISAでは検出が改善したものの、依然として化学修飾の種類に依存したとされています。
抄録によれば、dsRNA はタンパク質の発現を下げ、サイトカインを誘導し、細胞の生存に影響し、実験結果を混乱させる「生物学的に活性な不純物」です。既知量の dsRNA を加える実験では、生存率・サイトカイン誘導・発現量への影響も修飾の種類によって変わり、低い量から現れたとされています。
測れないものは管理できない
mRNA医薬の製造で dsRNA が問題になるのは、自然免疫を刺激するためです。少量でもインターフェロン応答を引き起こし、目的タンパク質の発現をかえって下げます。
問題は、その定量が抗体(J2など)を使うELISAに依存してきたことです。今回の指摘が正しければ、次のことが起こりえます。
- 修飾ヌクレオチドを使った mRNA では、実際より低い値が出る
- 工程の除去性能を、実態より良く見積もる
- ロット間の比較が、修飾の種類をまたぐと成立しない
分析法バリデーションでいえば、特異性・選択性の問題です。抗体が何に結合するかで測定値が決まる以上、測る対象の化学が変われば、抗体の見え方も変わるわけです。
除去する側の話
抄録は、改変した dsRNA 結合タンパク質による除去にも触れています。dsRNA を落とす手段としては、オリゴdTアフィニティ、セルロース吸着、逆相クロマトグラフィーなどが使われてきました。結合タンパク質を使う方式は、dsRNA を直接つかまえるという点で選択性が高くなりえます。
ただし、タンパク質を使う以上、残存する酵素・タンパク質の定量が新たな管理項目になります。除去のために加えたものを、また除かなければなりません。
なお、これはプレプリントで査読を経ていません。除去効率や適用範囲は抄録からは分かりません。
※ 本ページは公開情報(bioRxiv のプレプリント)をもとにしたProglenth編集部による整理です。プレプリントは査読を経ていません。手法・結果の詳細は一次情報をご確認ください。