「分画分子量」とは?
別名・英語表記:MWCO
膜がふるい分ける境目となる分子サイズ。約150kDaの抗体では30kDaが定番で、目的物を留め小分子を通す。
別名・英語表記:MWCO
膜がふるい分ける境目となる分子サイズ。約150kDaの抗体では30kDaが定番で、目的物を留め小分子を通す。
分画分子量(MWCO)は、限外ろ過膜がどのサイズの分子を通すか・留めるかの境界を示す指標で、kDa単位で表されます。膜を選ぶ際の中心的なパラメータであり、MWCOの設定が目的物の保持率と不純物の除去率を直接左右するため、製造工程の設計で最初に検討すべき項目のひとつです。
限外ろ過膜は分子量カットオフ(MWCO)で性能を表し、目的タンパク質は保持しつつ水・塩・低分子だけを透過させます。約150kDaの抗体を扱う場合、一般に30kDaが定番のMWCOとして選ばれます。この組み合わせであれば、目的抗体を確実に保持しながら、培地成分・遊離の低分子・塩といった小分子を透過側へ抜くことができます。小胞体や粒子状の生物製剤でも同じ考え方が成り立ち、適切なMWCOを選ぶことで可溶性タンパク質・遊離LPS・核酸・界面活性剤といった不純物を分離できます。
膜を選ぶときの検討軸は、材質・MWCO・形式・使用回数・流路・SPTFFの6つとされており、MWCOはそのなかの一軸を占めます。一方、回収率は主に膜への吸着(材質)で決まるとされるため、MWCOだけを最適化しても不十分な場合があります。高濃度UF/DFのような難易度の高い操作では、運転の巧拙よりも膜と装置の選定が成否を左右するとされており、MWCOを含むこれら6軸を総合的に判断することが求められます。
TFFシステムではMWCO・膜間差圧(TMP)・クロスフロー流速のバランスで運転が成り立ちます。MWCOは膜の孔径そのものを規定するため、TMPやクロスフロー流速といった運転条件と相互に影響し合います。たとえばレンチウイルスのTFFでは、剪断によるエンベロープ破壊を避けるためにクロスフロー流速を抑える必要があり、同時に膜の孔径(分画分子量)は粒子より十分小さいものを選ぶという判断が求められます。このようにMWCOは、膜選定の段階だけでなく、運転条件の設計とも密接に結びついています。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。