「受動拡散」とは?
濃度差に従って分子が細胞膜を自ら透過する動き。低分子が脳へ入る主な経路。
濃度差に従って分子が細胞膜を自ら透過する動き。低分子が脳へ入る主な経路。
受動拡散とは、濃度差を駆動力として分子が細胞膜をエネルギーなしに通り抜ける動きです。低分子が脳へ入る主な経路ですが、膜を通れるかどうかは分子量をはじめとする物性に左右されるため、BBBを越えられるかどうかの議論の出発点になります。
低分子は細胞膜を貫く受動拡散を主な道とし、その通りやすさを物性で調整します。一方、分子量が数十kDaにおよぶバイオ医薬は、物性を整えても受動拡散でBBBを通ることは期待できません。そのため抗体などのバイオ医薬は、BBBに備わる受容体介在トランスサイトーシス(RMT)をシャトル技術で借りて脳へ運び込む設計が必要になります。受動拡散が使えないなら、別の入口を借りるしかないという構図です。
タイトジャンクションが閉じている以上、低分子が脳へ入る主な道は細胞膜を貫く受動拡散ですが、膜を通れただけでは脳内濃度が上がるとは限りません。BBBには排出ポンプが存在し、受動拡散で細胞内に入れても排出ポンプの基質になっていると、脳側へ抜ける前に押し戻され、脳内濃度が伸びません。物性まわりの議論がすべて受動拡散を前提にしている点は押さえておく必要があります。
おおよそ1に近い指標値であれば、BBBは受動拡散で自由に行き来でき、脳内外の遊離濃度がほぼ釣り合っていると考えられます。受動拡散は濃度差に従う動きであるため、理論上は平衡に向かって双方向に働きます。この性質があるからこそ、排出ポンプによる一方向の押し戻しが脳内濃度へ与える影響が際立ちます。
この定義はProglenth編集部が一般的・基礎的な内容として整理したものです。実際の管理基準・要件は製品・企業・各極の規制により異なります。 正確な運用は各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報をご確認ください。